約 758,488 件
https://w.atwiki.jp/83452/pages/16163.html
○ さわちゃんの衣装の中に埋もれて、 あの高校の制服はさりげなくハンガーに掛けられていた。 実はムギが言うには、一週間前には既に友達から借りていたらしい。 でも、私達のそれぞれが悩みを抱えている事に気付いていたムギは、 皆の悩みが少しでも解決するまで、制服の事は誰にも言わないでおこうと思ったんだそうだ。 あの学校の制服を着るなら、皆揃って、笑顔で着られる方がいい。 「変な我儘で皆に秘密にしてて、ごめんね」と苦笑しながらムギが言ったけど、 そのムギの変な我儘を悪く思う部員なんていなかった。 大体、それは変な我儘じゃなくて、ムギの思いやりなんだから。 私達はムギの思いやりに感謝しながら、部室の中であの高校の制服に着替え始める。 一緒に大浴場にだって入ってる仲だ。 変な照れもなく、皆手早く着替えを終えていった。 特に部室で水着に着替える事も躊躇わない唯とムギの着替えは、そりゃ早かった。 物凄い早着替えだった。 唯なんか上下の下着丸出しになってから、誰の視線も気にせずそのまま着替えてた。 決して悪い事じゃないんだけど、妙に複雑な気分になるのは何故だろう。 唯よ……、今更だけど、女子高とは言え、 女子は人前では普通ブラジャーとパンツを丸出しにせず、上下片方ずつ着替えるもんなんだぞ……。 唯らしいっちゃ、唯らしいんだけど……。 でも、唯がそんな見事な着替えっぷり(脱ぎっぷり?)を見せてくれたおかげで、 残る私達も初めて着るあの高校の制服を戸惑わずに着替える事ができた。 初めて着る服って、どんな服でも少しは戸惑うもんなんだけど、流石は唯だ。 伊達にメイド服ですら、即座に着方を覚える女じゃない。 その能力と情熱をもっと他で生かせればいいんだけど、それでこそ唯でもある。 「りっちゃん、カックイー!」 制服に着替え終わった私の姿を見て、唯が珍しく私に対する称賛の声を上げた。 普段が普段だから、またからかわれてるのかと思ったけど、 私の姿を褒める唯の輝いた瞳には嘘が無いように見えた。 どうやら純粋に褒めてくれてるらしい。 まあ、私自身ってより、制服自体が格好いいからってのもあるんだろうけど。 それでも、褒められるのに悪い気はしない。 私は少し照れ臭い気分になりながら、目の前の制服姿の唯に言ってやる。 「ありがと、唯。唯も似合ってるぜ」 「でっへへー、そっかなあ。 私、そんなに似合ってる?」 「そうですね、似合ってますよ、唯先輩。 何だかすごく優等生みたいに見えます」 私の言葉に乗っかる形で、これまた制服に着替え終わった梓が言った。 梓のその言葉に、唯がまた頭を掻いて照れ始めたけど、唯は気付いてるのだろうか。 優等生みたいに見えるって事は、普段は全く優等生に見えてないって事に……。 事実だから、しょうがなくもあるが……。 「律先輩も似合ってますよね。 すごくまともな女子高生に見えますよ」 悪気の無い顔で、梓が無邪気な声色で続ける。 唯が普段優等生に見えてないってだけならまだしも、 私の方はまともな女子高生にすら見えてなかったのかよ! いや、確かに普段は制服を着崩してるけどさあ……、 そんなに言うほどまともな女子高生に見えてなかったのか……。 突っ込む気になるより先に、すごく落ち込むぞ。 着崩すだけなら、あの生徒会長の和も結構やってるのに……。 これが人望の差か……。 初めて着る服だし、私としては珍しく制服の上着のボタンまで締めてたけど、 どうにも悔しいので全部外して、スカートの中に入れてたシャツも出してやった。 タイ……と言うか、 制服のネクタイも緩めて、会社帰りのサラリーマンみたいにしてやる。 「あー、折角まともな女子高生みたいだったのにー……」 今度は梓じゃなくて、唯が残念そうに呟いた。 ブルータス、おまえもか。 ……ブルータスってのが誰かはよく知らないけど。 しかし、そんなに私がまともな女子高生に見えてなかったとは……。 だが、構わん。 これが私のスタイルだ。 残り少ない高校生活、世界の終わりが来ようが来まいが、最後まで貫き通してやるぞ。 唯と梓は精々真面目に制服を着こなすがいいさ。 「つーん」 わざわざ声に出しながら、腕を組んで唯達から視線を逸らしてやる。 別に怒ってるわけじゃないけど、このくらいの自己主張はしておかなきゃな。 「悪口言ったわけじゃないんだよー。 ごめんよー、りっちゃ……」 唯が謝りながら私に駆け寄って来ようとして、その声が途中で止まった。 どうしたんだろう、と私が唯に視線を戻すと、 唯は少し驚いた顔で私の後ろの方に視線をやっていた。 唯の隣に居る梓も、意外そうな表情でその方向を見つめている。 その視線を辿るみたいに振り返ってみると、 その唯達の視線の先には、私と同じようにあの高校の制服を着崩したムギが居た。 上着のボタンを外し、ネクタイも緩めていて、どうにもムギっぽくないその姿。 「どうしたんだよ、ムギ? そんなに制服を着崩したりして……」 つい不安になって、私はムギに訊ねてしまう。 いくら何でも、ムギっぽくないにも程がある。 何かの心境の変化か? 恋する乙女は好きな男のタイプによって印象を変えるらしいが、そういう事なのか? その私達の不安そうな視線に気付いたムギは、困ったように苦笑して言った。 「ご……、ごめんね、皆。 前からりっちゃんの制服の着方、してみたいなって憧れてたんだ……。 でも、授業中にやったら、叱られちゃうじゃない? それで今までりっちゃんの真似ができなくて……。 だから、折角の機会だし、りっちゃんみたいに制服を着てみようと思ったの。 ……でも、ごめんね。私には似合わなったよね……。 やっぱりこの着方はりっちゃんがやってこそだよね……。 すぐに着替え直すから、ちょっと待っててくれる……?」 本当に残念そうなムギの声色。 かなり落ち込んでるみたいに見える。 似合わないなんてそんな事ない。 私がそれを伝えようと口を開くと、それより先に唯と梓がムギに駆け寄っていた。 真剣な表情で唯と梓がムギに伝える。 「そんな事ないよ、ムギちゃん! 変な顔しちゃって、私達の方こそごめん! ムギちゃんのそんなカッコ見るの初めてだから、ちょっと驚いちゃっただけなんだよ。 すっごく似合ってるから、そのままのカッコでいよ? いいでしょ、ムギちゃん?」 「そうですよ、ムギ先輩! その格好のムギ先輩の姿も、意外性があって素敵です!」 ……私に対する態度とは天と地ほどの差があった。 でも、別にそれが嫌ってわけじゃない。 私も唯達と同じ気持ちだ。 いつもムギに助けられてる私達だ。 ムギがしたい事なら、何でも手助けしてあげたい。 制服を着崩したムギの姿が似合ってるってのも確かだしな。 お嬢様っぽいムギの見せる(実際にお嬢様なんだけど)少し背伸びをしたその姿。 意外性があって驚くけど、とても可愛らしくて、素敵だと思う。 「……本当?」 自信なさげにムギが呟く。 そのムギの手を取って、唯が優しく微笑んだ。 「ホントだよ、ムギちゃん。 すっごく可愛いもん。着替え直すのは勿体無いよ。 私の方からもお願い。そのままのカッコでいてよ、ムギちゃん」 「……りっちゃんは、私がりっちゃんの真似して、嫌じゃない?」 唯に手を取られながら、ムギが意を決した表情になって言った。 私に断られたらどうしようかと思ってるんだろう。 まったく……。 いつも頼りになるくせに、こんな時だけ気弱になるんだからな、ムギは。 ムギは多分、自分の外見とか、家柄とか、色んな事が周りの皆と違ってる事を気にしてる。 皆の仲間になりたくて、皆と同じ事をしてみたいと思ってる。 だからこそ、皆と同じ事をして、 それでも自分の姿が浮いていたらと思うと、不安で仕方が無いんだろうと思う。 人と違う事は強味になる事もあるけど、ほとんどの場合不安に繋がっちゃうものなんだ。 だから、私はムギに言ってあげるんだ。 「嫌なわけないだろ? ムギが私の格好に憧れてたって言ってくれるのも嬉しいよ。 どんどん真似してくれよ、ムギ。 何ならカチューシャだって貸してやるぞ?」 「……うん。ありがと、りっちゃん。 ごめんね。ありがとう、皆……」 それでようやく、ムギはまた笑顔になってくれた。 私達が大好きな、ムギの柔らかくていつまでも見てたい笑顔に。 悩み事は人それぞれ。 世界の終わりを間近にしても、悩みの形はそれこそ千差万別。 失くしたキーホルダーの事や、成功させたいライブの事や、 人と違う自分の事や、そして、恋の事なんかをそれぞれ悩んで……。 馬鹿みたいだけど、それが私達が私達のままでいるって事なんだろう。 「……で?」 私は部屋の隅の方で、 私達の様子をうかがってた黒髪ロングに視線をやってみる。 黒髪ロングは居心地の悪そうに壁際に身を寄せ、目を逸らす。 「おまえの方は何でそんな恰好をしてんだよ、澪」 「いや、その……、あの……」 歯切れ悪く澪が呟く。 そんな恰好と言うのは、あの高校の制服に着替えた澪の姿の事だった。 澪も私やムギと同じように制服を着崩し、 濃紺の上着のボタンを外して、シャツを出した上にネクタイを緩めている。 それだけなら、まあ、いいとして、 何故か澪はその上から更にフード付きのパーカーを重ねていた。 フードまで被って、明らかに場違い感丸出しだ。 いや、それも別にいい。 重要なのは、その薄紫っぽいパーカーは澪の私物って事だ。 それは何度か澪の部屋で見掛けた事があるけど、 澪自身が着ているのを目にした事が無いパーカーだった。 いつの間にか、さわちゃんの衣装と一緒にハンガーに掛けていたらしい。 「照れてるのか? 別に制服くらいなら恥ずかしくないじゃんか? 恥ずかしいにしても、上からパーカーなんか着ちゃったら、 制服借りて来てくれたムギにも悪いだろ?」 「いや、そうじゃなくて……」 私達の会話が耳に入ったらしい。 ムギは私達の方に近寄ると、優しい声色で澪に囁いた。 「いいんだよ、澪ちゃん。 恥ずかしいなら、そのままでも。 フードを被ってる澪ちゃんも新鮮で素敵だもん」 「ち、違うんだよ、ムギ。 恥ずかしいとか、そんなんじゃなくて、私は、ただ……」 恥ずかしい事からは逃げがちな澪としては、珍しく食い下がっていた。 この調子だと、本当に恥ずかしいからパーカーを着てるわけじゃないらしい。 でも、そうなると、澪がこんなにしてまでパーカーを着てる理由が分からない。 一体、どういう事なんだ……? 私が不審そうな視線を向けると、遂に観念したようで、澪がぼそぼそと呟き始めた。 「……たんだ」 「え? 何? どした?」 「あの雑誌でMAKOちゃんが、この制服の上からパーカーを着てたのが可愛かったんだ……」 沈黙。 天使が通ったかのような沈黙が音楽室を包む。 澪が顔を真っ赤にして、フードを更に深く被って縮こまった。 MAKOちゃん……。 確か澪が読んでるファッション誌の読者モデルの名前だったはずだ。 何度か澪の部屋で読んだ事があるけど、 確かそのMAKOちゃんが今の澪みたいな恰好をしてた時があった気もする。 だから、澪はこの制服を着るのに乗り気だったんだな。 制服を買うのは無理としても、パーカーだけは自前で用意して……。 「澪ちゃんって、結構ミーハーだよね」 悪気の無い表情で、唯が楽しそうに口にする。 実際悪気は無いんだろうけど、その唯の言葉は澪にとどめを刺すのに十分だった。 パーカーに手を掛け、急に暴れるみたいにして立ち上がる。 「いいよ! 似合わない事して悪かったよ! 脱ぐよ! 今すぐ脱ぐから待っててよ!」 「いやいや、そこまでせんでも……」 私は暴れる澪の腕を取って、どうにか動きを止めようと力を入れる。 でも、体格のいい澪を小柄な私の力で抑えるのは少し無理があって、 澪のパーカーがもう少しで脱げそうになった瞬間……。 「あーっ!」 唯が不意に大声を出した。 あまりに突然の事に、私も澪も、ムギや梓ですらも驚いて動きを止める。 「ど……、どうしたんだよ、唯……」 私はおずおずと唯に訊ねてみる。 奇行には事欠かない唯だけど、少なくともこんな風に突然大声を上げる事はそうはない。 つまり、よっぽどの事があったって事だ。 「見てよ、りっちゃん! 凄いよ!」 唯が人差し指を窓の方向に向けて、また大きな声を上げる。 私も窓の方に視線を向ける。 窓の外の光景を見た瞬間、唯が大声を上げるのももっともだと私は思った。 澪達も呆然として、窓の外の光景を見ていた。 「うわ……」 つい私の口からそんな声が漏れ出していた。 それくらい、印象的な光景だった。 「空が……」 私に続くみたいに、澪が呟く。 空は変わらず青かった。 だけど、その青い空に流れるたくさんの雲は、 これまで見た事が無い速度で流れていて……。 例えるなら、テレビで観るVTRの早回しの空模様。 そんな早回しの雲が、 現実の時間で、 青い空を流れていた。 まるで、 世界の終わりを告げるみたいに。 35
https://w.atwiki.jp/english_anime/pages/861.html
スクリプトは、新しいサイトに置いてあります
https://w.atwiki.jp/chaosdrama/pages/2078.html
https://w.atwiki.jp/83452/pages/16171.html
「いや、それは親愛の情と言いますか、友達として……」 「だったら、私もまだ単なる友達って事だよな、律?」 「いやいや、そうじゃなくてだな……。 澪は友達と言うか、恋人に限りなく近いと言うか……」 「それに律は若王子さんともかなり仲がいいみたいだし、 やっぱりああいうお姫様みたいな子の方が好きなんじゃないのか?」 「だから……、そうじゃなくて、あー、もう! そんな事言うなら、分かったよ! 変な事しちゃったよ! もう離れるぞ、み……」 私が澪から身体を放そうした瞬間、 澪が私の脇の下から腕を通して私の胸の中に顔を静めた。 さっきまでの表情とは打って変わって、その時の澪は顔を真っ赤にしていた。 「ごめん、律……。 ちょっと意地悪しちゃったな……。 律の精一杯……、本当に嬉しいし、これで十分だよ。 簡単に私と恋人になるわけじゃなくって、 友達以上恋人未満って関係を選んでくれたのが、今は本当に嬉しい。 私の事を……、こんな普通じゃないお幼馴染みの私の事を、 律が本気で考えてくれてるって分かるからさ……」 意地悪された事について言いたい事も色々あったけど、 私の胸の中に居る澪の表情を見ていると、そんな事はどうでもよくなった。 不器用なやり方しかできなかった私だけど、 そんな不器用な私の想いを澪が受け取ってくれたんだ。 こんなに嬉しい事は無いよ。 腕に力を込めて澪を更に強く抱き締めながら、私はまた澪に囁いた。 「私も嬉しいよ、澪。 こんな時期に答えを出せない、優柔不断な私を受け入れてくれてさ……。 だから、考える。ずっと考え続けるよ。 澪と恋人になれるのか、澪の恋人になりたいのか、週二でデートしながら考えるよ」 「うん、楽しみにしてる」 「ただし、澪。 おまえにもちゃんと考えてもらうぞ? おまえが本当に私の恋人になりたいのか? 私の恋人になって、本当に幸せになれるのか? デートしながら、おまえにもそういう事を考えてもらうからな?」 澪の気持ちを疑ってるわけじゃない。 でも、澪にも後悔の無いように考えてほしかった。 今更だけど、澪や私の中に生まれたこの想いは、 吊り橋効果みたいなやつから生まれた物かもしれない。 それに、女同士の恋愛関係も色々と大変だろうしな。 だから、考えるべきなんだと思う。 世界が終わろうと、世界が終わるまいと、 自分の想いが本当に正しいのかを自分に問い続けるのは、必要な事のはずだ。 私のその気持ちを分かってくれてたみたいで、澪も私の胸の中で静かに頷いてくれた。 考え続けようと思う。 世界の終わりまで、澪の傍で。 ……って言っても、 実を言うと私の中に澪との恋愛に対する不安はほとんど無い。 よく漫画である、世界全てを敵に回しても澪を好きでいられるか……、 って想像をしようかとも思ったんだけど、その想像自体が現実的じゃなかったんだよな。 大抵、こういう恋愛関係の場合、 周りや家族が猛反対して、世界全体から自分達の関係が拒絶される……、 みたいなのがありがちな展開なんだろうけど、 何か私達にそういう展開は当てはまらない気がするんだよな。 だって、もしも私が澪と付き合う事になったって伝えても、 うちの両親なら一言で「いいよ」とか言いそうなんだよ。いや、マジな話。 どんだけ放任主義なんだよ……。 あと軽音部のメンバーも平然と認めてくれちゃいそうだ。 唯なんか「え? まだ付き合ってなかったの?」とか言うんじゃないだろうか。 勿論、全員が全員、認めてくれるわけじゃないんだろうけど、 私の大切な人達が認めてくれるんなら、それでいいかって気になってくる。 そんなわけで、女同士の恋愛に対する不安はほとんど無いんだ。 呆れたから漏れたのか、安心できたから漏れたのか、 どっちでもあり、どっちでもないような苦笑が私の口からこぼれる。 「どうしたんだ、律?」 その苦笑に気付いた澪が、私の胸の中で小さく訊ねてくる。 「何でもないよ」と首を横に振って、澪を抱き締める腕の力をもう少しだけ強くした。 私に不安は無い。澪と傍に居る事が恐くなるなんて事は無い。 だから、後は考えるだけだ。 傍に居過ぎて空気みたいな存在になっちゃった澪を、恋愛対象として見れるかって事を。 それはとてもとても長い時間が掛かる事だと思う。 残り少ない時間で答えが出る事じゃないし、無理に答えを出していい事でもないはずだ。 こう言うのも変だけど、のんびりマイペースな放課後ティータイムとして、 私達の関係のその後をじっくりと考えていきたい。 勿論、それまで私がするべき事は、澪の傍から離れない事が最優先だけどな。 不意に。 音楽室の中に小さな音が立った。 何だろうと思って、澪を胸の中に抱き締めたまま周りを見回すと……。 「ギャー!!」 思わず大声を上げながら、私は澪から自分の身体を放した。 私から身体を放された澪は一瞬不安そうな顔になったけど、 私の大声の原因を音楽室の入口付近に見つけると、 「ギャーッ!!」 私と同じ様な叫び声を上げて、顔面を真っ赤に染めた。 それもそのはず。 唯とムギと梓がトーテムポールみたいに身体を重ねて、 音楽室の入口から私達の様子を嬉しそうにうかがっていたからだ。 「あー、気付かれちゃった……」 「唯先輩が物音立てるからですよ!」 「だって、二人の様子をもっと近くで見たかったんだもん……」 隠れるのをやめた唯達が肩を並べて部室に入ってくる。 本当は覗き見されてた事を怒るべきなんだろうけど、 唯達のその様子は楽しそうな上に嬉しそうで、とても怒れるような雰囲気じゃなかった。 三人で私と澪を見守っててくれたんだろうな、って私は思う。 いや、覗き見されてた事自体は相当恥ずかしいが……。 「りっちゃん、おいっす」 気に入ったのかムギの借りてくれた制服をまだ着てる唯が微笑む。 「お……、おいっす……」 声が上擦りそうになりながらも、 それをどうにか抑え、平然を装って唯に返す。 その私の様子をムギが心底嬉しそうな表情で生温かく見つめてる。 「ねえねえ、りっちゃん。澪ちゃんと何してたのー?」 無邪気な表情で唯が続ける。 こいつ……、とぼけやがって……。 私は唯から視線を逸らしながら、こっちもとぼけてやる事にした。 「ほら……、アレだ。 そう! 『ロミオとジュリエット』の劇の復習だよ! 澪と話してたら懐かしくなってきちゃってさ、 それで今抱き合うシーンをやってたところだったんだよ! なあ、そうだよな、澪!」 私が澪に言うと、張子の虎みたいに澪がコクコクと何度も首を振った。 顔を真っ赤にしながらで説得力は全然無かったけど、何もしないよりはマシだ。 しかし、唯はまた無邪気な顔を崩さずに楽しそうに言ってくれた。 「えー……? ロミジュリじゃ、りっちゃんがジュリエットだったじゃん。 ジュリエットは抱き締められる方なのに、 今回はりっちゃんが澪ちゃんを抱き締めてるように見えたよ? ロミジュリなら、ロミオがジュリエットを抱き締めないと駄目だよー?」 ……よく見てんじゃねーか。 私は溜息を吐きながら、視線を梓の方に向けてみる。 梓は顔を少し赤くさせながら、私と澪の顔を交互に見つめていた。 そういや、梓の奴、前に学園祭のライブで澪のパンチラ(パンモロ?)見て興奮してたな。 唯に何度抱き着かれても抵抗しないし、やっぱりこいつ……。 いやいや、梓の嗜好は今は関係ない。 別に唯達に私と澪の関係がばれるのが嫌なわけじゃない。 いつかは皆に伝えなきゃいけない事だとも思う。 でも、今は……、何だ……、は……恥ずかしい……。 ほとんど気付かれてはいるんだろうけど、 自分達の口から伝えるのは、二人の関係がもっとはっきりしてからにしたいし……。 少なくとも、今日のライブが終わるまではまだ内緒にしていたい。 「そ……、それよりさ、唯? 忘れ物を取りに帰ったらしいけど、一体何を忘れたんだよ? 今日のライブの道具でも忘れたのか?」 誤魔化すように私が話を逸らすと、 「そうだった」と言いながら唯がポンと手を叩いた。 音楽室の入口の方まで走って行って、 廊下に置いていたらしい大きめの紙袋を手に取ると、楽しそうに私の目の前に差し出した。 「じゃじゃーん! 忘れ物はこれだったのです! 折角用意してたのに、昨日持って来るの忘れちゃってたんだ。 ちなみにライブの道具は大丈夫だよ。一週間前からちゃんと準備してたもん。 憂が!」 「それは安心だな」 言いながら、私は唯の差し出した紙袋を受け取る。 お、結構重い……。 何が入ってるんだ? 紙袋の中を覗いてみる。 中に入っていたのは、写真や紙切れや金属の箱やその他色々……? 何だこれ。 「おい唯、何だよこれ」 「え? 分かんないの、りっちゃん?」 「うむ。全く」 首を傾げて唯に訊ねると、ムギと梓が軽く苦笑したみたいだった。 私を馬鹿にしてるわけじゃなくて、分からなくて当然、って言いたげな苦笑だった。 二人は唯から聞いて袋の中身の正体を知ってるんだろうけど、 逆に言えば聞かなきゃ絶対に分からないって事なんだろうな。 特に唯のやる事だ。 相当、奇想天外な正体なんだろう。 気が付けば、赤面がまだ治まり切ってない澪も紙袋の中身を覗きに来ていた。 やっぱり澪も紙袋の中身の意味が分からないみたいで、私と視線を合わせてから肩をすくめた。 「もー。りっちゃんも澪ちゃんも鈍いなあ……。 長い付き合いなのにー……」 頬を膨らませて、心外そうに唯が呟く。 鈍いって、そういう問題なのか、これ? だって、写真はともかく、この紙切れなんかサイズや内容に一貫性が無いしなあ……。 ……って、よく見たらこの紙切れ、私が授業中に唯に回した手紙か? ちょっと探ってみたら、楽譜や猫耳なんかも入ってるみたいだな。 写真も一貫性は無いけど、一応、全部私達が写ってる写真ではある。 共通点って言ったら、当然ではあるけど私達に関係ある物って事くらいか。 それに加えて、紙袋の中に不自然に入ってる金属の箱……。 という事は、ひょっとすると……。 「唯、もしかして、これ……。アレか?」 私が呟くと、今度は急に私に抱き着いて、 「流石はりっちゃん!」と嬉しそうに唯が笑う。 どうやら私の考えが当たっていたらしい事が分かり、つい微笑んでしまう。 唯らしい天然で奇想天外な発想だけど、悪くない考えだと思ったからだ。 ふと振り返ってみると、一人だけ状況を掴めていない澪が寂しそうに首を傾げていた。 まあ、澪じゃ想像も付かない事かもしれないなあ……。 流石に唯も澪がこの紙袋の正体に辿り着くのは無理だと気付いたらしい。 私が澪にその正体を説明しようとするより先に、唯が幸せそうな笑顔を崩さずに言った。 「これはね、澪ちゃん……。 私達からの未来の人達へのプレゼント……。 タイムカプセルなのです!」 ○ 先にさわちゃんに差し入れに行った梓を見送った後、 私達はタイムカプセルとスコップを持って校庭の大きな桜の樹の下に集まっていた。 枯葉もかなり散り終わった桜の樹を見上げながら、 そういや、この桜の樹に伝えられる伝説を誰かから聞いた事があったな、と何となく思い出す。 確かこの樹の下で女の子から告白して結ばれたカップルは、 呪われた輪廻に囚われて、別れたいと思っても永遠に別れられないとか何とか。 ありがちな伝説のはずなのに、そう言われると何か恐い。 何事も物は言い様だな……。 と言うか、うちは女子高なんだが……。 まあ、伝説ってのは、古くから伝えられてるもののはずなのに、 詳しく調べてみると、その実は十年前に創作されたものだった事もよくあるらしい。 この桜の樹にまつわる伝説も、多分、誰かが適当に創作したものなんだろうな。 そうして、特に興味の無い桜の樹の伝説について考えていると……、 「すみません、お待たせしました」 さわちゃんに差し入れを終えたらしい梓が、桜の樹の下の私達に駆け寄って来た。 その梓の腕には学生鞄が抱えられている。 キーホルダーを失くしてしまった梓の学生鞄だ。 水曜日までの梓ならその学生鞄を決して私達に見せなかっただろうけど、 完全ではないながらキーホルダーの事を吹っ切れた今の梓なら大丈夫だった。 まだ少し後悔や悲しさはあるんだろうし、その顔は複雑そうな表情に見える。 でも、梓は精一杯の笑顔を私達に向けてくれた。 私も梓に笑顔を向け、何事も無いような普段通りの口調で梓に訊ねる。 「どうしたんだ、梓? 鞄なんか持っちゃって……、中に何か入れて来たのか?」 「はい、律先輩。 実は先生に差し入れに行った後で、 タイムカプセルに入れられそうな物を、部室や教室で探してみたんです。 これといった物はあんまり見つからなかったんですけど、とりあえず鞄の中に詰め込んで来ました」 「あずにゃんもタイムカプセル埋めるの楽しみなんだねー」 唯が嬉しそうに梓に言ったけど、 梓は唯から視線を逸らして、私によくやるみたいに頬を膨らませてみせた。 「別にそんな事は無いです。 唯先輩がどんな理由でタイムカプセルを埋めようって言い出したのかは分かりません。 でも、私はやるからには徹底的にやっておきたいんです。 よく分かりませんけど、このタイムカプセルは未来の人達へのプレゼントなんですよね? だったら、適当な物なんか入れられないじゃないですか」 「もう。楽しみなくせに、あずにゃんも素直じゃないんだからー……」 梓の生意気な発言も意に介さず、唯は嬉しそうな表情を崩さない。 梓がタイムカプセルを楽しみにしてる事は間違いない、って思ってるんだろう。 普段の唯の判断は何の根拠も無い事が多いけど、 今回ばかりは唯が間違ってないと私も強く感じた。物凄く感じた。 何故なら、梓の学生鞄が何をそんなに詰め込んだんだって思えるくらい、パンパンに膨らんでいたからだ。 間違いなくとりあえずってレベルじゃない。 自分の思い出の品を片っ端から詰め込んで来たってレベルの量だぞ、これ。 前に小さく潰された梓の鞄を見ていただけに、余計にそう感じる。 あれだけ小さく潰す事ができる鞄を、ここまで膨らませる事ができるのか……。 呆れを超えて、逆に感心させられる。 視線をやってみると、澪もムギも苦笑に似た表情を浮かべていた。 勿論、そんな梓を嫌がってるわけじゃない。 生意気で素直じゃなくて、可愛らしい後輩を微笑ましく思ってるって、そんな感じの表情だった。 多分、今の私も澪達と似た表情を浮かべてるはずだ。 私達の表情に気付いたのか、 鞄を限界まで膨らませておいての自分の発言に説得力が無いと思ったのか、 梓はその場に鞄を置くと、顔を少しだけ赤く染めながら早口で誤魔化すように言った。 「そ……、そんな事より早く穴を掘らないといけませんよね。 先輩達に力仕事をさせるのも申し訳ないんで、私が穴を掘りますね。 ムギ先輩、スコップを貸して頂けますか?」 歩き寄りながら、ムギからスコップを借りようと梓が手を差し出す。 ムギは柔らかい笑顔を浮かべ、スコップを持ったままで軽く首を横に振った。 「ううん、大丈夫よ、梓ちゃん。もう穴は掘らなくてもいいの」 「え? どうしてですか? タイムカプセルを埋めるなら、少しでも深い穴を掘っておいた方が……。 あ、心配しないで下さい、ムギ先輩。 ムギ先輩ほどじゃありませんけど、私、力は強い方なんですよ?」 ムギに心配させないようにしてるんだろう。 力強く微笑みながら、梓がもう一度ムギに向けて手を差し出した。 だけど、ムギはまたスコップを梓に渡そうとはしなかった。 不安そうな表情を浮かべる梓に、ムギが優しい声色で言葉を掛ける。 「穴はもういいんだよ、梓ちゃん。 だって、ほら……」 梓を手招きながら、ムギが桜の樹の私達が立っている側の裏に歩いて行く。 梓が首を傾げながらムギの後に付いて行き、私達もその後に続いた。 桜の樹の裏側に完全に回った後、 ちょっと照れた表情を浮かべながら、ムギが自分の足下を指差した。 ムギの指の先に視線を向けた直後、梓が悲鳴みたいな甲高い声を上げた。 「早っ!! 深っ!! 凄っ!!」 43
https://w.atwiki.jp/83452/pages/16153.html
○ 梓は笑顔になったけれど、その涙が完全に止まるまでには、もう少しだけ時間が掛かった。 笑顔を取り戻したとは言っても、心の中に残るしこりを取り除くには、まだ涙が必要みたいだ。 好きなだけ、泣いたらよかった。 泣いた先に晴れやかに笑えるんなら、泣かずに耐えるよりその方がずっといい。 涙は必要なもので、どんな涙にも意味があるはずなんだ。 昨日、私が澪の前で訳も分からず流してしまったあの涙にも、きっと意味があるはずだ。 私は多分、あの涙の理由を分かりかけてきていた。 澪に伝えたい言葉もほとんど固まってる。 答えは、出ていた。 後はそれを声に出して、その答えを澪の耳と心に伝えるだけだ。 その答えを他人が聞けば、大概が馬鹿な答えだって笑うかもしれない。 確かに自分で出した答えながら、馬鹿な答えを出したもんだと思わなくもない。 それでも、よかった。 馬鹿な答えでも、それが私の答えだし、 軽音部の皆なら、その答えを笑って受け入れてくれると思う。 澪がどう受け取るかは分からないけど、 できれば澪もその答えを笑顔で受け取ってくれれば嬉しい。 受け取ってくれる……、と思う。 自信過剰かもしれないけど、澪が涙を流した理由は私と同じはずだから……。 そうやって梓の腕の中で私が澪への想いを再確認し終わった頃、 若干震えが止まった梓が私の身体を解放してから、落ち着いた声色で言った。 「ありがとうございます、律先輩……。 やっとですけど……、落ち着きました。 長い間、無理な体勢をさせてしまって、ご迷惑をお掛けしました」 「気にするな」 言ってから、私はしばらくぶりに梓の顔を正面から見る。 瞼を泣き腫らしてはいたけど、梓は照れ臭そうに笑っていた。 長く涙を流してしまった事を、少し気恥ずかしく感じてるんだろう。 梓があまり見せる事が無い可愛らしい照れ笑い。 その表情を見て、梓は笑顔を取り戻せたんだな、と私は胸を撫で下ろす。 残り少ない時間、笑顔を失くしたまま終わらせるなんて悲し過ぎるじゃないか。 勿論、深刻に世界の終わりについて考え続けて、 哲学的な答えを出したりするのも一つの生き方だろう。 そういう生き方を否定しないし、立派だとも思うけど、その生き方は私達には似合わない。 皆が笑顔で、お茶をしたり、雑談に花を咲かせたり、 そんな普段通りのままで世界の終わりを迎えるのが、私達の生き方なんだ。 多分、世界が終わる詳しい理由も分からないまま、その日を迎えるんじゃないだろうか。 正直言って、テレビで世界が終わる理由を何度説明されても、よく分からなかったしな。 とりあえず隕石やマヤの予言とかとは、一切関係ない事だけは確からしいけどさ。 まあ、世界が終わる理由なんてのは、別に知っても仕方がない事だ。 理由を知ったところで世界の終わりを回避できるわけでもないし。 そんな事よりも、今の私には気になる事がある。 私にとっては、世界の終わる理由よりもそっちの方が何倍も重要だ。 軽く微笑んでから、私は梓の耳元で囁く。 「梓、ちょっと後ろ向いてくれるか?」 「え、何ですか、いきなり?」 「ほら、早く早く」 「はあ……。分かりましたけど……」 狭いスペースだったけど、その場で梓が器用に半回転してくれる。 梓のうなじがちょうど私の目の前に来る体勢になる。 私は「ちょいと失礼」と手を伸ばして、梓の両側の髪留めをクルクル回して解いた。 「え? 律先輩……?」 「櫛は部室にあるから、手櫛で失礼」 「えっ……と……?」 「おまえさ、自慢のツインテールがボサボサだし、左右の位置も変になってんだよ。 気になるから、私に結び直させてもらうぞ」 「別にツインテールが自慢なわけじゃ……って、そうじゃなくて! いいですって! 自分で結び直しますから! 大丈夫ですから!」 「何だよー、可愛くない後輩だなあ。 こういう時くらい、先輩の思いやりに身を任せたまえ、梓後輩」 私が言うと、少しだけ抵抗していた梓の動きが止まる。 私に結び直させてくれる気になったのか? そう思った瞬間、梓が妙に重い声色で呟いた。 「大雑把な律先輩に、ちゃんと髪を結べるんですか?」 「中野ー!」 後輩の生意気な発言にいたく憤慨した私は、梓の首筋に自分の腕を回して力を入れる。 私の得意技、チョークスリーパーの体勢だ。 梓も私にそうされる事が分かってたらしく、 特に抵抗もせずに私のチョークスリーパーに身を任せた。 と言うか、チョークスリーパーに身を任せるって、言い得て妙だな……。 少しずつ力を込めると、チョークスリーパーって技の性質上、必然的に私達の顔は間近に近付いていく。 間近に見える梓の顔は笑うのを我慢してるように見えた。 どうもさっきの発言は冗談だったらしい。 私の方もいたく憤慨したってのは嘘だけどさ。 しばらくそのままの体勢でいたけど、先に根負けしたのは私の方だった。 気付けば私は笑顔になってしまっていて、梓も私につられて晴れやかな笑顔に変わっていた。 「ありがとうございます、律先輩」 何度目かのお礼の言葉を梓が口にする。 嬉しい言葉だけど、流石に何度も言われると私も背中がむず痒くなってくる。 「もう礼の言葉はいいって、梓」 「でも、伝えたいですから。 何度だって、言葉にしたいんです。 こんなに安心できたのはすごく久し振りで、すごく嬉しいんです。 律先輩が私の先輩でいてくれて、本当に嬉しいんです。 もうすぐ世界の終わりの日なのに、安心できるって変な話ですけど、でも……。 私……、幸せです」 幸せなのは私も一緒だ。 梓とすれ違ったまま世界の終わりを迎えなくて、すごく幸せだった。 もうすぐ死ぬ事は分かってるけど、この幸せな気持ちは無駄にはならないはずだ。 よくもうすぐ死ぬのに、短い幸福なんて無意味だって言葉を聞く。 でも、残された時間が短い事と、幸せ自体は何の関係も無い事だと私は思う。 短い時間の幸福が無意味なら、結局は長生きして得た幸福だって無意味って事になる。 長かろうと短かろうと、最終的には死ぬ事で何もかも失われるんだから。 どうやっても、人は死んでしまうんだから。 だから、私は短い時間の幸せでも無意味だなんて思わない。思いたくない。 そのためにも、私は梓に訊いておかなきゃいけない事があった。 「なあ、梓。 キーホルダー……、一緒に捜すか?」 軽く、囁いてみる。 失くしてしまったキーホルダーを見付けだす事も、梓には大きな幸せになるだろう。 その幸せを梓が求めるんなら、私もその力になりたいと思う。 残りの時間、キーホルダーを捜す事に力を尽くすのも、一つの道だ。 だけど、梓はゆっくりと首を横に振った。 「いえ……、もういいんです。 一週間ずっと、これだけ捜しても見つからないって事は、 誰かに拾われるかなんかして、もう何処か遠い所にあるのかもしれませんしね。 それに……、キーホルダーが無くても、先輩達は私を仲間でいさせてくれる。 それを律先輩が教えてくれたから……、だから、もう大丈夫です」 完全に吹っ切れたわけじゃないんだろう。 梓のその声は寂しげで、少し掠れて聞こえた。 でも、今度こそ、その梓の言葉は信じられる。 まだ無理はしてるんだろうけど、梓はキーホルダーという形のある絆の品じゃなくて、 私達との絆そのものっていう形の無いものを信じてくれる事にしたんだ。 形の無いものを信じるのは恐いし、不安になってしまうから、 そりゃ少しの無理はしないといけない。無理をしなきゃ信じ続けられない。 だけど、梓はそれを信じてくれる。 信じるために、今の寂しさも耐えてくれる。 何だか急に、そんな梓が愛おしく思えた。 私はチョークスリーパーの体勢を解いて、抱き締めるみたいに梓の背中から両腕を回す。 「ありがとな」 信じてくれて。 後半の方は言葉にしなかった。 照れ臭いのもあったし、その言葉を伝えるのも今更な気がした。 でも、言葉にしなくても、今だけは梓に私の気持ちが伝わってると思う。 不意に梓が明るく微笑む。 「だから、お礼を言いたいのは私の方ですよ、律先輩。 これじゃ逆じゃないですか」 「そう……かな。そうかも……な。 でも、私からも礼を言いたくてさ。ありがとう、梓」 「私こそ……って、これじゃきりが無いですね」 「そうだな。じゃあ、最後に梓が私に感謝の気持ちを示してくれ。 お礼の言い合いっこはそれで終わりにしようぜ?」 「感謝の気持ちを示すって……、どうすればいいんですか?」 「梓の髪を私に結び直させてもらう。 私に感謝してるんなら、それくらいの事はさせてもらおうじゃないか、梓くん」 「そうきましたか……。 いいでしょう。それくらいは我慢してあげます」 よっしゃ、と声を上げて、私は梓から身体を離して少し距離を取る。 解いた梓の髪は真っ黒でまっすぐで、女の私から見てもすごく綺麗に思えた。 手を伸ばして、手櫛で丁寧に梓の髪を梳いていく。 少し痛んでるのに、梳く指に引っ掛かりがほとんど無い。 もしかしたら、これは澪よりもいい髪質かもしれないな。 ちょっと悔しくなって、ぼやくみたいに呟いてみる。 「ちくしょー。 マジでまっすぐな髪だな。生意気な奴め」 「羨ましいですか?」 「んまっ、本気で生意気な子ね! でも、まあ……、羨ましい事は羨ましいけど、そこまででもないかな。 ストレートはストレートで苦労があるみたいだし、あんまり髪を伸ばすつもりもないしさ」 「そう言う割には、律先輩も髪の扱いが意外と上手じゃないですか」 「ふふふ、まあな。 暇な時、澪の髪を結ばせてもらってるし、髪の扱いにかけてはそれなりの腕前だと思うぞ。 だからさ、気になるんだよ、梓みたいに綺麗な髪が傷んでるとさ。 澪の奴も精神的に追い込まれるとそれが髪質に出る奴だから、余計に気になるんだよな」 「ご心配……、お掛けします」 申し訳なさそうに梓が縮こまり、頭を小さく下げる。 その梓の頭を撫でて、私はそれを軽く笑い飛ばしてやる事にした。 「気にするなって。 まあ、でも、深夜に一人で外を出歩くのだけは頂けないけどな。 キーホルダーの事が気になるからって、いくら何でも危ないだろ。 ただでさえ梓は……」 可愛いんだから。 そう言おうとしてる自分に気付いて、慌ててその言葉を止めた。 流石にその言葉を梓自身に届けるのは恥ずかし過ぎる。 私は一息吐いてから、訂正して言い直す。 「小学生みたいに小さいんだからな」 「なっ……! 律先輩だって、人の事言えないじゃないですか!」 「私はおまえよりは大きい」 「年の差です!」 梓が頬を膨らませて拗ねる。 って、年の差……か? 見る限り、梓は一年の頃から全然成長してないように見えるんだが……。 この調子じゃ、今後どれだけ年月を経たとしても、成長しなさそうだぞ。 いや、私も人の事は言えないくらい、一年の頃から成長してないんだけどな……。 ……何か悲しくなってきた。 梓も自分が全然成長してない事を自覚してるみたいで、物悲しそうに沈黙していた。 発育不良な二人が、揃って大きく溜息を吐く。 いやいや、今は私達の発育の事なんてどうでもいい。 私は梓の右の髪を結びながら、できるだけ声色を明るく変えて言った。 「でも、危ないのは確かだ。 もうあんな事するのはやめてくれよ、梓。 と言うか、深夜に私の家の前を通ったのは梓で間違いないんだよな? まだおまえから本当のところを聞いてないけど」 「はい……。律先輩が見たのは、確かに私だと思います。 深夜、キーホルダーを捜して、走り回ってましたから……。 見間違いだなんて言って、すみませんでした……」 「それはいいけどさ。 私はさ、梓の事が本当に心配だったよ。 私だけじゃない。 ムギも、唯も、澪も、憂ちゃんや純ちゃんもおまえを心配してたんだからな」 「純……も……?」 意外そうに梓が呟く。 それは純ちゃんが梓を心配してるのが意外なんじゃなくて、 私が純ちゃんの事を話題に出すのが意外だと感じてるみたいだった。 確かに私と純ちゃんって、あんまり関わりがなさそうだからなあ……。 でも、私と純ちゃんが無関係に見えても、決して無関係じゃない。 いちごが言ってたみたいに、私達は自分でも知らない何処かで知らない誰かと必ず繋がってる。 何かと無関係ではいられないんだ。 特に私と純ちゃんには梓っていう大きな繋がりがある。 それだけで私と純ちゃんは、深い所で繋がり合ってるって言えるかもしれない。 今回、私はその繋がりに助けられ、梓の悩みを晴らす事ができた。 それは梓を大切に思う人間が多いって証拠でもある。 梓がそんな風に大切に思われるに足る子だから、 誰もが梓を放っておけなくて、結果的に梓自身を救う事になったんだ。 私はそれを梓に少しだけ伝えようと思った。 梓の悩みは私達の悩みでもあるんだって。 梓が悩んでいると、皆が梓を助けたくなるんだって。 梓は愛されてるんだって。 勿論、純ちゃんとの約束もあるから、 必要以上の事を伝えるわけにはいかないけど。 それでも、私は伝えるんだ。梓は一人じゃないんだと。 「この教室に来る前に、純ちゃんと話をしたんだよ。 梓が二年一組に居るって教えてくれたのも純ちゃんなんだぜ? 軽音部の部室から飛び出すおまえを見かけたって言ってた。 声も掛けたって言ってたけど、気付かなかったのか?」 「いえ……。無我夢中で走ってて、純が見てたなんて全然気付きませんでした。 でも、そうなんだ……、純が……。 純に……、悪い事しちゃったな……」 「後で純ちゃんに謝って……、いや、お礼の方が喜ぶな。 お礼を言っとけよ、梓。 純ちゃんが教えてくれなきゃ、私はこの教室まで来れなかった。 梓の悩みを聞き出す事もできなかったんだ。 今お前と私が笑えるのは、純ちゃんのおかげでもあるんだ」 「そうですね……。 いつもは好き勝手な事してるのに、純ったら……。 こんな時だけ……、こんな時だけ気が効くんだから……」 「いい友達だな」 「……はい!」 梓が感極まった様な大きな声を出す。 もしかしたら梓はまた少し泣いているのかもしれなかった。 でも、それはもう悲しい涙じゃなくて、胸が詰まるみたいな嬉しい涙なんだ。 少しだけ気難しい面がある梓にも、純ちゃんみたいな素敵な友達がいるんだな。 私はそれが嬉しくなって、梓の左側の髪を結び終えてから続けた。 「おまえが思う以上に、純ちゃんっていい子だぞ。 純ちゃんさ、おまえの知らない所で軽音部の新入部員を見つけてくれたらしい。 それも二人もだぜ。 入部してくれるのは来年度からみたいだけど、これで来年の軽音部も安泰だな」 「本当ですかっ?」 「ああ。でも、私が言ったって純ちゃんには内緒な。 純ちゃんから、新入部員の事は梓には内緒してくれって頼まれてるんだよ。 勿論、その新入部員が誰かも内緒なんだ。 だから、どうかここはご内密に頼むぜ、お代官様」 「そうですか……。二人も新入部員が……。 何だか……、来年度がすごく楽しみになってきました。 見てて下さいね、律先輩。 来年度の軽音部は、今の軽音部より絶対すごい部にしてやるです!」 「その意気だ」 私が不敵に微笑んでやると、梓も私の方に振り向きながら柔らかく微笑んだ。 勿論、二人とも分かってる。 来年度は、多分、無い事を。 それでも、私達は笑うんだ。 私達が私達でいられるために。 「よし、完了」 25
https://w.atwiki.jp/83452/pages/16176.html
○ 私達は講堂の裏口から舞台袖に入り、降りた緞帳の裏で楽器の用意をしていた。 皆、緞帳から客席は覗かず、静かに作業を行う。 何人来てくれているのかを確認するのは失礼な気がしたからだ。 何人来てくれていても構わない。 何人も来てくれていなくても構わない。 特に今日は世界の終わりの前の日だ。 来てくれる予定だった人でも、急な用が入って来れなくなる事も少なくないと思う。 勿論、それは残念な事だけど、 そちらの用事の方が大事なら、遠慮なく優先してくれればいいと思う。 このライブは私の……、私達の最後の我儘から開催したライブだからな。 私達が好きで勝手に開催してるライブでしかない。 参加する義務なんて誰にも無い。 皆、思い思いに過ごすのが一番大切な事だし、私もそうするし、皆もそうしてほしい。 とは言っても、アーティストのエゴって言うのかな。 何人くらい来てくれているのか気になるのも、確かなんだよな。 いやはや、こんな時なのにお恥ずかしい。 まあ、ちょっと考えちゃうくらいは許してほしいところだ。 観客の数は、多分、三十人くらいかなと思う。 皆の家族に和と和の家族、さわちゃん、純ちゃん、 いちご、アキヨ、高橋さんにオカルト研の二人……。 それと時間に余裕があれば、信代くらいかな。 月曜日に会って以来、信代からの連絡はないし、私も信代に連絡をしていない。 忙しいだろうと思ってたし、少しでも信代の夢に向かって進んでほしかったってのもある。 あれから信代は日本一の酒屋に少しでも近付けたんだろうか。 信代の満足いく形で前に進めているんなら、私も嬉しい。 他の酒屋を深く知ってるわけじゃないけど、 少なくとも私の中では信代は日本一の酒屋だと思う。 いや、勿論、信代の店のお酒を飲んだ事はないけど、 前に疲れている時に信代が差し入れしてくれたジュースはものすごく美味しかった。 ジュース自体は市販されてる物だ。 でも、それを必要としてる人に、必要としてる時間に提供できるって事がすごいんだ。 それができる信代は、今も日本一の酒屋に向けて進めてるはずだろう。 これは私のちょっとした我儘と言うか贅沢だけど、 信代の彼氏……、旦那も連れて来てくれると楽しいな。 皆、信代の旦那には興味津々だし、誰よりもさわちゃんが信代の旦那を見たがってた。 勿論、私だって信代の旦那を一度見てみたい。 筋肉質で逞しい感じの旦那なんだろうなって私は想像してるけど、 ひょっとしたら全然違うタイプかもしれないし、連れて来てくれていると本当に楽しい。 楽しいってのも、何か失礼な話かもしれないけど。 でも、三十人か……って、そう考えると私は嬉しくなってくる。 身内ばかりだけど、こんな時期に三十人も集まってくれるなんて、すごい事じゃないだろうか。 何より、バンドのメンバーが一人も欠けなかったって事が嬉しい。 世界の終わりの前日の今日、 テレビやラジオで聞く限りでは、様々なバンドがラストライブを開催するらしい。 武道館でもあのバンドの盛大なライブが開催されるんだとか。 最後に何かを形にしたいってのは、誰もが考える事なんだろうな。 でも、フルメンバーで最後のライブを開催するバンドは多くなかった。 まだ二人組ならともかく、三人以上……、 特に五人以上のバンドがフルメンバーで、最後のライブを行えるのは珍しいみたいだ。 バンドメンバーとは言え、最「楽しそうだな、律。 どうしたんだ?」 よっぽど嬉しそうな顔をしてたんだろう。 ベースとマイクの準備が終わった澪が、小さく私に声を掛けた。 私は頭の上にスティックを掲げながら、声は静かに応じる。 「何人くらいお客さんが入ってくれてるのかって考えてたんだよ。 多分、三十人くらいだと思うけど、そんなに来てくれるなんて嬉しいよな」 「う……、三十人か……」 「百人以上の観客の前で歌った事のある澪さんが何を緊張してんだ。 そもそもファンクラブのメンバーだけで三十人近くはいただろ、確か」 「実数の問題じゃないんだよ……。 人がいっぱい居るって事に緊張するんだ……。 特に今回はこれまでの私達のイメージとは違う新曲もあるしさ……。 どうしよう……。引かれたらどうしよう……」 「別に引きゃしないって。観客の皆も身内ばかりだと思うしさ。 でも、これまでの私達のイメージとは違うってのは確かだよな。 曲調も歌詞もこれまでの澪とは違う感じだよ。 どうしたんだ? 音楽性の違いからの心境の変化ってやつか?」 「あっ……、それは……、えっと……」 澪が一瞬、視線を俯かせる。 その様子は照れてると言うより、何かを不安に思ってるって感じだった。 「どうした、澪? 私、変な事言っちゃったか?」 「いや……、そうじゃなくてさ……。 あの……さ……。 今回の新曲、律は嫌いじゃないのかなって……。 何だか新曲を演奏し終わる度に……、律が溜息を吐いてた気がするんだ。 だから……」 成程、澪は私の様子を不安に思ってたのか。 澪の言うとおり、私は新曲を演奏する度に大きな溜息を吐いてた。 でも、その溜息の理由は澪の考えてるものとは全然違ってる。 私は軽く微笑み、立ち上がって澪の近くにまで歩いてから澪の肩を叩く。 「馬鹿だな、澪は。 私、この新曲、好きだぜ? 溜息を吐いてたのは単に新曲が激しい曲だから結構疲れるからで、深呼吸みたいなもんだ。 それと……、毎回、いい演奏ができるからさ……、 嬉しくて感嘆の溜息……って言うのか? そういう感じで息が漏れてただけだよ」 「そうなんだ……。よかった……。 実はさ、律……。この曲は律の事を考えてムギと作ったんだ」 「えっ? 私……の事……?」 「あ、いやいや、律のために捧げる歌とか、そういう意味じゃなくて……」 「そりゃそうだ。 そんな事されたら、恥ずかしくて叫び声を上げるわ」 『冬の日』が自分に宛てられたラブレターかと勘違いした時も、 私らしくなく、毎日ドキドキしちゃって、気が気でなかったしな。 いや、これは誰にも内緒だけど。 澪が少しだけ頬を赤く染めて、恥ずかしそうに続ける。後にやっておきたい事はそれぞれ違うんだからそれは仕方ない。 その点、私達は誰一人欠けずに最後のライブに臨めてる。 そもそも開催できるなんて思ってなかったライブだけど、こんなに嬉しい事はない。 唯の思い付きに感謝だな。 まあ、武道館でライブを開催できるようなバンドと比較する事じゃないけどさ。 「律はさ……、本当は激しいハードロックをやりたかったんだよな……? 好きなドラマーもそんな感じの人が多いしさ……。 でも、今だから言うけど、放課後ティータイムじゃ、 なし崩し的に私の歌詞に合った甘いポップ系が多くなっちゃって、それが気になってんだよ。 律は私に付き合って好みとは違う曲を演奏してくれてるんじゃないかって……、 そう思って、今回は激しい曲にしてみたんだ。 今回の新曲はそういう意味で律の事を考えて作った曲なんだよ」 「確かに私は激しい曲の方が好みだし、 放課後ティータイムの曲は好みとは言えない曲が多いな。 今回の新曲の方が私の性には合ってる。 でも……、放課後ティータイムの曲は全部好きだよ。 好みじゃないけど好きなんだ。好きになっちゃう魅力があるんだ。 唯の歌声、ムギの作曲、梓のギター、勿論、澪の作詞に……」 照れ臭い言葉だったけど、それは全部私の本音だ。 じゃなきゃ、こんなに長い間、皆とバンドなんて組めてない。 外バンなんて考えられない。 好みじゃなくても、放課後ティータイムは私の居場所なんだから。 私の想いが伝わったんだろうと思う。澪も私と同じ様に照れ臭そうに頷いた。 「ありがとう、律。 律が私の曲を好きでいてくれたなんて、 面と向かって聞いた事なかったから本当に嬉しいよ」 「言っとくけど、好みなわけじゃないからな。 好みじゃないけど好きなだけだからな」 「分かってるよ、律。好きでいてくれるだけで嬉しい。 じゃあさ、次の曲は『きりんりんりん』を新曲に加え……」 「その曲は却下」 呆れた顔で私が却下すると、 流石の澪もその曲は採用されるとは思ってなかったみたいで、悪戯っぽく笑った。 どうやら冗談だったらしい。 冗談を言えるくらいなら、かなり緊張も解れたって事なんだろう。 私は苦笑して澪の肩を軽く叩くと、ドラムまで戻って体勢を整えた。 見回してみると、既に唯達の準備も終わってるみたいだった。 舞台袖で私達を待ってくれていた和に視線を向ける。 私と澪のやりとりをずっと見てたらしく、ちょっと苦笑した表情の和が頷く。 隣に居た眼鏡の子(確か生徒会の会計)に指示を出すと、マイクを自分の口元に運んだ。 私は和から視線を正面の緞帳に戻し、深呼吸をして皆に視線を向ける。 唯が楽しそうに微笑んで私を見ている。 ムギも珍しく真剣な表情で私に視線を向ける。 澪は緊張を忘れようと少し強張った顔で、 梓は私を見る他の三人の表情と私の顔を交互に見つめている。 「やるぞ!」 緞帳の先までは聞こえないくらいの声量で皆に宣言する。 そのまま私がスティックを掲げると、皆も効き手を頭上に掲げた。 会計の子が操作してくれたんだろう。それに釣られるみたいに緞帳が上がっていく。 少しずつ上がっていく緞帳に合わせるくらいの速さで、和の声が講堂中に響く。 「さて、皆さんお待ちかね。 絶対、歴史に残すライブイベント、放課後ティータイムのライブの開催です! 皆さん、高校生活最後の彼女達のライブを、思う存分お楽しみ下さい!」 またハードル上げてくれるな、和……。 と言うか、和も結構『絶対、歴史に残すライブ』ってフレーズが好きだったんだな……。 少し微笑ましい気持ちになりながら、 私は緞帳が上がり切るのを待ってから客席に視線を向けた。 信代が旦那を連れて来てくれてるといいなって、そんな軽い事を考えながら。 だけど……。 「えっ……?」 私だけじゃない。 放課後ティータイムのメンバーの全員が戸惑いの声を上げていた。 圧倒された。 圧倒されるしかなかった。 私は観客の数は三十人くらいだろうと思っていた。 贔屓目に考えて、多めに見積もって三十人だ。 唯は五十人くらい来てくれるはずと言っていたが、 夏フェスの参加人数を三億人とか言ってた奴だから、誰も当てにしてなかった。 でも……、でも、これは……、そんな……。 客席から歓声が上がる。 想像以上の歓声……、予想すらしていなかった大量の……。 私は息を呑んだ。 少し見回しただけで、講堂の中には二百人を下らない数の観客が入っているのが分かる。 私達の家族、アキヨ、いちご、オカルト研の二人、信代、信代の旦那らしい背の高いカッコいい人、 さわちゃん以外にも先生が何人か、マキちゃんにラブクライシスのメンバー……、 清水さんに春子達といった私のクラスメイト、澪ファンクラブのメンバーの半数近く、曽我部さん、 多分、私達に制服を貸してくれたムギの中学時代の友達……。 それだけじゃない。 見掛けた事はあるけど名前も知らないうちの学校の生徒に、 誰かの友達らしい全然知らない子達も大勢客席に座っていた。 世界の終わりの間近にこんな人数が……、私達のライブに……。 こんな時なのに……。 瞬間、私は涙を流していた。 私だけじゃない。澪もムギも唯でさえも、その場に崩れ落ちるみたいに大粒の涙を流してた。 何の前触れも無かった。 心の動きを感じるより先に涙が流れてた。 遅れて、胸の痛みを感じ始める。嘘みたいだけど、感情より先に涙腺が反応していた。 声を出そうとしても嗚咽となって声にならない。 悲しいわけじゃない。絶望してるわけでもない。 でも、ただ涙が止まらない。 止まらない涙を流しながら、思う。 集まってくれた観客の皆の気持ちを考える。 私達のライブを見たいのは間違いないだろうけど、 多分、皆、私達と一緒に終わる世界に向けて叫びたいんだろうと思う。 言ってやりたいんだって思う。 私達は生きてるんだって。 明日消えて無くなる命でも、今を烈しく生きてるんだって。 強く生きてやるんだって。 皆は私達にそれを代表させてくれてるんだ。 生きるって事の意味を終わる世界で叫ぶ代表を。 だから、私は何かを言わなきゃいけない。 軽音部の部長として、このライブの座長として、私から皆に宣言しなきゃいけない。 ライブの始まりを私の口から宣言しなきゃならない。 最高で最後のライブを開催するために。 でも。 口を開いても、言葉が出ない。 呼吸をする事すら精一杯だ。 堰き止められてたダムが決壊したみたいに、私の涙が流れ続ける。 涙が私の言葉を止める。 瞼を開いてるのも辛いくらいの涙が私の邪魔をする。 涙が止められないのは私だけじゃなかった。 唯が膝から崩れ落ち、ギー太を胸に抱いて大声で泣いている。 普段から涙脆い奴ではあるけど、今回の唯の涙は尋常じゃなかった。 世界が終わるって知ってからも変わらず楽しそうに振る舞ってた唯だけど、 やっぱり心の奥底では辛かったんだろうし、悲しかったんだろう。 同時に自分に寄せられる皆の期待に戸惑ってしまっているんだろうと思う。 軽い気持ちで、何となく開催する事になった最後のライブ。 内輪で開催するだけなら単なるお遊びみたいなもんだった。 だけど、こんなにも多くの人が世界の終わりの前日に来てくれるなんて、 それだけの価値が自分達にあるのかって今更ながらに恐がっちゃってるんだ。 そんな唯の気持ちが分かる。 勿論、私もそうだからだ。 ムギが腰から崩れそうになりながら、キーボードに手を付いて大粒の涙を流してる。 キーボードで倒れそうな自分の身体をどうにか支えてる。 泣く事をやめられたムギでも、この事態には泣かざるを得ないみたいだった。 皆が集まってくれた事への感謝で胸が一杯なんだろう。 胸が一杯だから、多分、欲が出ちゃったんだ。 この素敵な時間をずっと続けてたいって。 明日も明後日もずっと続けてたいって。 明後日はもう無い事も分かってるのに……、 なのに、欲が出ちゃって、そんな浅ましい自分の欲が愛おしくなっちゃって……。 終わらせたくない。 終わりたくないって思っちゃって……。 だから、ムギの涙も止まらないんだ。 澪が声も上げずに舞台に突っ伏して震えている。 澪が考えてるのはライブの事だけじゃないだろう。 ライブは成功させたいし、どうにか歌いたいと思ってくれてるはずだ。 でも、多分、そこに私っていう重荷が圧し掛かっちゃってる。 本当は私の恋人になりたかったはずだ。 友達以上恋人未満じゃなく、今すぐにでも深い関係の恋人になりたかったはずだ。 私もそうしたかったけど、そうするわけにはいかなかった。 私の想いも固まっていないのに、恋人になるなんてそんな失礼な事は出来なかった。 でも、澪の姿を見てると、その考えが揺らぎそうになる。 私は間違っていたのか? 澪の恋人になって、抱き合って、世界の最後まで一緒に居るべきだったのか? 世界の恋人達は本当は皆そうしてるものだったんじゃないか? 自分の気持ちがはっきりしてなくても、 お互いを慰め合うために傍に居るものだったんじゃないか? それが恋人って関係の真実だったんじゃ……? 考え出すと不安が溢れだして止まらない。 もう取り戻す事のできない残り少ない時間を考えてしまって、焦りが止まらない。 泣いているのは舞台上の私達だけに留まらなかった。 客席の所々から泣き声が上がり始める。 皆、とめどない涙を流してる。 悲しみや不安や怒りや苦しみや……、 世界の終わりに対する色んな感情を宿した涙を流し続ける。 涙脆いと噂の春子が大声で泣いてる。 父さんと母さん、聡が肩を寄せ合って震えてる。 純ちゃんと憂ちゃんが眼に涙を浮かべ、手を握り合ってる。 アキヨが本に顔を寄せて震え、高橋さんがその肩を包み込むみたいにして支える。 ラブクライシスの皆の表情も辛そうで、下級生の子達からも大きな泣き声が上がる。 そして、いちごまで……。 いちごまでいつもの無表情ではあるけど、私の方を見ながら一筋の涙を流してた。 毅然とした表情だったけど、その涙を止める事はできなかったみたいだった。 伝染させてしまったと思った。 私達が……、いや、私が泣いてしまったからだ。 誰も泣きたくて私達のライブに来てくれたわけじゃないのに、 悲しむために私達のライブに来たわけじゃないのに、私が涙を流せる空気を作ってしまった。 泣いて、皆で慰め合うみたいな空気を作ってしまった。 未来に絶望して、過去に縋り付いてもいいんだって、そんな空気にしてしまった。 皆で肩を寄せ合って悲しみを共有しようっていうライブにしてしまったんだ。 最初に私が泣いてしまったせいで……。 私が望んでたライブはこういうライブだったのか? 私は悲しみながら終わる世界、終わるライブで満足なのか? いいや、違う! 私がやりたかったのは、こんなライブじゃない! これから私達がやるライブは、思い出に浸るためのライブじゃない。 皆で最後まで慰め合うって約束をするためのライブじゃない。 私がやりたいのは、私がやるべきなのは、今を生きてる自分達のためのライブだ! 私達は此処に居るって事を叫んでやるためのライブなんだ! 「……な、……いで。 これから……、ライ……、ライブを……」 立てられたマイクにどうにか声を届けようとする。 涙を流す皆にどうにか言葉を届けようとする。 でも、そんな私自身の声が出ない。言葉が出ない。 涙に邪魔されて、私のやりたいライブを開催する事ができない。 悔しかった。 部長を名乗っておきながら、皆を支えようとしておきながらこの様だ。 こんなんじゃ、ライブに来てくれた皆の時間を無駄にしてしまうだけだ。 観客の皆に申し訳ない。 軽音部の皆にも向ける顔が無い。 自分で自分自身が赦せなくなる。 唇を噛み締めて、拳を握り締める。 何もできていない自分を殴り付けてやりたくなる。 私はどうにか立ち上がり、マイクを握ろうとする。 もう一度、届けられるかどうか分からない掠れた声を出そうとした瞬間……、 「皆さん、こんばんは。 放課後ティータイムです」 48
https://w.atwiki.jp/83452/pages/16155.html
○ 朝、私達は三人で軽音部の部室でお茶を飲んでいた。 純ちゃんは居ない。 登校後、純ちゃんは私達と別れ、ジャズ研の部室に向かっていた。 ジャズ研も最後のライブを開催するから、そのための練習に行くらしい。 こんな時期に純ちゃんが登校してた理由は、ある意味で私達と同じだったってわけだ。 しかも、純ちゃんが言うには、そのライブは純ちゃんを中心に行われるんだそうだ。 そりゃほとんど毎日登校してるはずだよ。 ジャズ研のライブの開催は金曜日の午後。 会場は講堂らしく、もう既に使用届の提出もしているそうだ。 どの部も考える事は同じってわけだな。 世界の終わりに反抗したいのは、別に私達だけってわけじゃない。 私達のしている事は、何も特別な事じゃないんだ。 やっぱり皆、最後に何かを残したいんだと思う。 それは形として残るものじゃないけど、それでも何かを残そうとする事は無駄じゃないはず。 いや、私としては、別にその行為が無駄でも構わない。 私達はこれまで放課後を無駄に過ごして来た。 軽音部を設立して、たまに練習はするけど、ほとんどの時間をお喋りに費やして、 合宿に行っては遊んで、休日にはやっぱり雑談に花を咲かせて、それを梓や澪に怒られたりして……。 正直、音楽にまっしぐらに生きて来れたなんて、冗談でも口に出せない。 一言で言えば、私達にとっての放課後のほとんどは、人生の無駄遣いだったんだよな。 だけど、それでよかったと思う。 無駄だけど、楽しかった。 辛い事も少しはあったけど、皆と出会えて、最高に面白かった。 退屈する暇なんてないくらい、充実した無駄な時間を過ごせた。 その無駄が、私にとってすごく大切なものになったんだ。 だから、私達の最後のライブが無駄な行為でも、私は全然構わない。 それよりも気になるのは、やっぱり純ちゃんのライブの方だ。 純ちゃんの演奏は何度か聴いた事はあった。 でも、これまでの純ちゃんの演奏は、 ジャズ研の先輩達の伴奏的なパートである事が多く、 純ちゃん自身の本当の実力はいまいち掴みづらかった。 相当に練習を積んでるみたいだし、かなり上手い方だと思うんだけど、 伴奏的に演奏するのとメインで演奏するのでは、印象もかなり違ってくるだろう。 これは是非ともジャズ研のライブを観に行かなきゃいけない。 純ちゃんも私達のライブを観に来てくれるんだから、 私達もジャズ研のライブを観に行くのが礼儀ってもんだ。 それに新入部員(予定)の真の実力を把握しておくってのも、部長の大事な仕事だしな。 でも、何よりジャズ研のライブが観たい理由は、 今更だけど純ちゃん自身に興味が出始めたってのが一番かもしれない。 これまでは単なる梓の友達としてしか見てなかったんだけど、 昨日見せてくれた心から梓を心配する純ちゃんの姿がすごく印象的だった。 単なる友達なんかじゃない。 純ちゃんは梓の親友で、深く繋がってる仲間なんだなって思った。 単純だけど、私はそんな理由で純ちゃんに興味を持った。 それに梓の仲間だってんなら、私達の仲間でもあるってもんだ。 新しいお仲間としては、しっかりと相手の事を知っておかなきゃな。 「どうしたんですか、律先輩?」 ムギの淹れてくれたFTGFO何とかって紅茶を飲みながら、梓が首を傾げた。 新しい軽音部の仲間が増えた事が嬉しかったせいか、私の顔が緩んでしまっていたらしい。 「何でもないよ」と私は首を振ったけど、 私の席の斜め向かいに座ってるムギはその私の誤魔化しを見逃してくれなかった。 「でも、りっちゃん、すごく嬉しそうよ? 何か素敵な事でもあったの? 言いたくないなら仕方ないけど、よかったら教えてほしいな」 ムギにそう言われちゃ、教えないわけにはいかなかった。 そもそも、隠し通さなきゃいけない事でもない。 私は自分の笑顔の理由をムギ達に伝える事にした。 「いや、昨日も話した事なんだけど、 純ちゃんが軽音部の新入部員を見つけてくれたってのが嬉しくてさ。 ついつい顔が緩んじゃったわけですよ、部長としては」 完全に真実ってわけじゃないけど、嘘を吐いてるわけでもない。 深く話せない事情を知ってるムギは、それを察して柔らかい笑顔を浮かべてくれた。 「そうよね。それって本当に素敵な事よね。 りっちゃんが笑顔になっちゃうのも分かるな。 私だって、嬉しくて自分が笑顔になっちゃうのを抑えられないもの。 ……でも、純ちゃんってすごい子だよね。 私達があんなに探しても見つからなかったのに、新入部員を二人も見つけてくれるなんて……。 すごいなあ……、新入部員かあ……。 ねえ、梓ちゃんは新入部員ってどんな子だと思う? どんな子だったら嬉しい?」 「え、私ですか……? どんな子でも嬉しいですし、想像もできませんけど……。 そうですね……。 できればムギ先輩みたいな子か、それが無理なら大人しい子だと嬉しいです。 ムギ先輩みたいに気配りのできる子だと私も安心できますし、 大人しい子なら私でも色々と教えてあげられるんじゃないかって思うんです。 逆に活発な子や、私を振り回すような子はちょっと……」 そこで言葉を止めた梓は、わざとらしくチラチラと私の方を見た。 その目は明らかに私を挑発していた。 確実に私の突っ込みを待っていた。 こいつ……、誘ってやがる……。 そこまでされちゃ、私の方としても突っ込む事に関してやぶさかじゃない。 私は机を軽く掌で叩いてから、大声で言ってやる。 「それって私みたいな子はノーサンキューって事かよ!」 「別に律先輩みたいな子とは一言も言ってませんよ」 「いや、言ってただろ! 私の方を見てもいただろ!」 「知りません。律先輩の自意識過剰じゃないんですか?」 「おい中野! コラ中野! いい加減にしないと、ガラスの様なハートを持った部長が泣いちゃうぞ中野!」 「律先輩のは強化ガラスの様なハートだから、大丈夫なんじゃないですか?」 「強化ガラスでも、割れないだけでヒビは入るんだぞ!」 「あ、強化ガラスって自分で認めましたね、律先輩」 「中野ー!」 言葉だけだと辛辣な言い争いっぽいけど、私と梓の顔は笑っていた。 ふざけ合っているのはお互いが承知の上での言い争いなんだ。 昨日から梓の発言はいつもに増して生意気になっていた。 ムギ達と私の部屋に泊まった時も、何度梓が生意気な発言をしたか数え切れない。 でも、それは私に対して反骨心を持ち始めたからの発言じゃない。 いや、反骨心が無いとは言い切れないけど、どちらかと言えば甘えに近い発言に思える。 長く不安を抱えてた反動もあるんだろう。 梓は私に憎まれ口を叩く事で、これまでの勿体無かった時間を取り戻してるんだと思う。 好きな子にちょっかいを出して相手の興味を引いて甘える……。 そんな小学生みたいな行動が、梓の愛情表現の一つなんだろうな。 梓がその愛情表現を私に示してくれるのは勿論嬉しいんだけど、 これまた昨日からそんな私達を妙に嬉しそうに見守るムギの視線が気になるのは私だけか? 何か非常に生暖かい視線を感じるんだが……。 「なあ、ムギ……?」 どうにも気になって、 頬に手を当てて私達を見つめるムギに声を掛けてみたけど、 残念ながらムギは私達を見つめたまま何の反応も見せなかった。 どうやら何かに夢中になり過ぎて、私の声が聞こえてないらしい。 超うっとりしてる。 と言うか、そういや久々に見たな、こんなムギ。 一年の頃は頻繁に見せてた姿だけど、二年に上がってからは、 他の事に興味を持ち始めたのか、単に誤魔化し方が上手くなったのか、 こんなうっとりした感じのムギの姿を見せる事は少なくなっていた。 「あの……、律先輩……?」 流石に妙過ぎるムギの姿が気になり始めたんだろう。 梓が不安そうに私の方に視線を向けた。 「ムギ先輩、どうしたんですか? 何だかうっとりしてるみたいに見えますけど……」 一年の頃のムギの姿を知らない梓だ。 私以上に妙な様子の今のムギを不審に……、じゃなくて、不安に思うのも無理はなかった。 しかし、このムギの姿をどう説明したらいいのか、私自身にもよく分からん。 私は頭を掻きながら、どうにか梓に上手く伝えるふりはしてみる。 「別に心配はないんだけど、 いや、なんつーか……、ムギってそういうのが好きな人なんだよ。 最近はあんまりそんな様子もなかったけど、どうも突発的に再発しちゃったみたいだな……」 「そういうのが好き……って、どういうのが好きなんですか?」 「えーっと……、だな……。 「女の子同士っていいな」っつーか……、 「本人達がよければいい」っつーか……、 ムギってそういうのが好きなんだよ。どんと来いなんだよ。 ほら、アレだ。みなまで言わせるな」 「女の子同士……?」 私の言葉を反芻するみたいに梓が呟く。 流石にすぐに理解できる事じゃないだろうし、いきなり理解されたらそっちの方が嫌だ。 十秒くらい経っただろうか。 私の言葉の意味を理解したらしい梓が目に見えて慌て始めた。 「えっ? あの……、えっ? 私と律先輩が……? 女の子同士の関係に……? ええっ? 私は別に……、そんなつもりじゃ……。 でも……」 理解してくれたのは嬉しいが、梓の動揺は私の予想とは違う原因のようだった。 見る限り、どうやら梓はムギが女の子同士の関係が好きな事よりも、 梓と私がムギにそんな関係として見られてるって事に動揺してるらしい。 そっちかよ。 まあ、流石に私に気があるって事は無いにしても、 意外と梓自身も女の子同士の関係に興味があるって事なのかもしれない。 同性の幼馴染みに告白されて、そいつの恋人になろうとした私に言えた事じゃないけど……。 澪の事を思い出して、私は少しだけ視線を伏せてしまう。 もうすぐ私は澪と一日ぶりに再会する。 それはすごく不安な事だけど、でも、それは澪と再会してから考えればいい事だ。 私はもうあの時の自分の涙の理由を分かってるんだ。 後はそれを澪に伝えるだけでいい。 軽く梓に視線を戻してみる。 決心を固めた私の視線を違う意味の視線と勘違いしたのか(何とは言わないけど)、 挙動不審に周囲に視線を散漫とさせながら、梓が早口に捲し立てるみたいに言った。 「そ……、そういえば、唯先輩達遅いですね! 一日空いちゃったから、唯先輩達に会えるの楽しみです! 二人とも今日は来てくれるんですよね?」 こいつ誤魔化した。 焦って誤魔化した。 いや、まあ、別にいいけど。 それに唯達が学校に来てくれるか気になるのも本音ではあるんだろう。 誤魔化して振ってきた話題ではあるけど、 そう言った梓の顔はやっぱりまだ不安そうに見えた。 「ああ、心配しなくても大丈夫だぞ、梓。 昨日ちゃんと確認しといたしさ」 言いながら、私はポケットから自分の携帯電話を取り出す。 テレビや電話を含め、電波障害は昨日の夕方辺りには無くなっていた。 紀美さんの言葉じゃないけど、多分、電波職人さんのおかげなんだろう。 まあ、本当に電波職人さんのおかげかどうか分かんないし、 そもそも電波職人さんってどんな仕事の人達の事を指すのか不明だけど、 とにかく電波の復旧に関わってくれた人がいるなら、その全員に感謝したい。 ただ、電波が復旧したとは言っても、電話が繋がりにくい状態には変わりがなかった。 そんな状態で唯達に連絡を取るのも、いつ切れるか不安でもどかしいだけだ。 だから、私は電波の繋がりがよさそうな時間を見計らって(単なる勘だけど)、 唯と澪に梓の悩んでたのはキーホルダーを失くしたからだったって事、 でも、私達が梓と話し合って、その梓の不安をどうにか晴らしてやれた事、 その二つの用件だけを簡潔に書いた短いメールを出した。 詳しい事は直接会って話せばいい事……、 いや、直接会って話した方がいい事だからな。 唯と澪もその私の気持ちを分かってくれたのか、 私の送信からしばらく後に二人から短い返信が届いた。 返信の内容は『ありがとう。明日は絶対学校に行くから』って、二人とも大体そんな感じだったかな。 だから、大丈夫。梓が不安になる必要はない。 二人とも約束を守ってくれるタイプなんだし、 形や対応はそれぞれ違ってても、梓の事を心配してたのは確かなんだから。 「心配するなって。 大体、まだ十時にもなってないじゃんか。 今日早く目が覚めちゃったからって、私達が来るのが早過ぎただけだよ。 ほら、昨日唯達からのメールもしっかり届いてる」 私は唯達からの返信メールを開いて、隣に座ってる梓に見せる。 受信メールを人に見せるなんて本当はマナー違反だけど、 不安になってる梓になら唯達もきっと許してくれるだろう。 梓もマナー違反だって事は分かってるんだろう。 申し訳なさそうな顔をしながら、 私の見せたメールを早々と読んで、すぐに私の携帯から目を逸らした。 「すみません、律先輩。 先輩達の事を信じるって言ったのに、まだ不安がっちゃって。 駄目ですよね、こんなんじゃ……」 「心配するなって言ってるだろ? 唯達がキーホルダーや今までの態度の事で梓を怒るとは思わないけど、 万が一おまえを怒るようなら私も一緒に謝るよ。 部員の不祥事は部長も謝るのが筋ってもんだしさ。 それに謝るのは慣れてんだよな、私」 「それ自慢になってませんよ、律先輩……。 でも、ありがとうございます。 もう……、大丈夫です。 唯先輩も澪先輩も優しいから、私を怒らないんじゃないかって思います。 だけど、私、しっかり謝りたいです。 よりにもよってこんな時に、迷惑掛けちゃったのは確かですから。 だから、謝らないといけないって思います。心から謝りたいんです。 それでやっと、私……、また軽音部の部員に戻れるんだって、そう思います」 そこまで決心できてるんなら、大丈夫だろう。 私は強い光を灯した梓の瞳を見つめながら、軽く微笑んで頷いた。 誰だって自分の失敗を認めて、謝るのは不安になる。 私だって梓と同じ不安を胸に抱えてる。 私もこれから澪に会って、謝らなきゃいけないからな。 とても不安で、今にも逃げ出したいけど……、 でも、梓も私も逃げないし、逃げたくない。 それこそ私達が私達のままでいるために必要な事だからだ。 何となく視線をやってみると、 いつの間にか素に戻っていたムギが真剣な目を私達に向けていた。 これから謝らなきゃいけない私達を見守っててくれるつもりなんだろう。 ありがとな、と胸の内だけでムギに囁いて、私もこれからの事に覚悟を決めた。 急に。 手に持った携帯のバイブが振動し始めた。 突然の事に驚いた私は、少し焦りながら携帯の画面を確認するとメールが一件届いていた。 覚悟を決めたばかりで情けないけど、こういう不測の事態くらいは焦らせてくれ。 急に鳴ったら焦るだろ、普通。 まあ、それはともかく。 当然の事だけど、確認してみた画面には見慣れた名前が表示されていた。 それは問題なかったんだけど、その差出人のメールの内容が問題だった。 いや、別に不自然な事が書いてあるわけじゃない。 メールの内容自体は誰でも一度は受けた事があるはずの内容だ。 でも、そのメールは不自然だったんだ。 結構長い付き合いになるけど、 あいつからこんな内容のメールを受け取るのは私も初めてだった。 特に傍に梓が居る事が分かってるはずなのに、 私だけにこんなメールを送って来るなんて、不自然を通り越して不審なくらいだ。 一体、どうしたっていうんだよ、あいつは……。 その不審なメールの差出人は唯。 メールの内容は『今から三年二組の教室で二人きりで会いたい』というものだった。 27
https://w.atwiki.jp/maroku_w/pages/23.html
ダンジョン攻略 注意モンスター F.O.E攻略 宝箱,スペルカード エリアボス攻略 ボス攻略 コメント ダンジョン攻略 博麗神社から再スタートとなり、ゲームのセーブ、主人の変更、魔法陣での回復を行えるようになる。 魔法陣で回復を行うと、マップ上のモンスターが復活する。 左でチケットを召還できるマップあり。チケットは魔理沙の家でパスワード入力、特定のボス及びエリアボスのドロップでもらえます。 また一度外に出てから再び博霊神社に戻ると、境内に香霖堂がオープンしている。 ここでは手持ちのアイテムを用いた合成が行えるので、一通りアイテムを集めてきたらまた戻ってくると良い。 ここからは探索範囲が非常に広くなる。 足を運べる場所は博麗神社、混沌平原、地底、迷いの竹林、樹海、大蝦蟇の池、九天の滝、魔界の計9ヶ所。 マップの進み方 博麗神社⇒混沌平原1⇒混沌平原2⇒大蝦蟇の池⇒魔界3 混沌平原1⇒霧雨魔法店 混沌平原1⇒地底 混沌平原1⇒魔界1⇒迷いの竹林⇒魔界2⇒樹海⇒混沌平原3⇒魔界3 混沌平原2⇒九天の滝 混沌平原2⇒三妖精の大木(要フック) 混沌平原3⇒隙間の境界(要フック,さとり加入後) 魔界2⇒紅魔館 魔界2⇒大階段(第二層へ) 魔界3⇒時計塔 混沌平原と魔界は1~3の区画があり、数字が大きいほどモンスターが強力になる。 特に魔界3はHPが高いモンスターが多いので、序盤では近寄らないようにしよう。 第一層は環状に繋がっているので、時計周りに回れば敵が順次強くなっていく。 また、魔界2の大階段から混沌世界 第二層 魔界1へと移動出来る。 Wで新たに隙間の境界が追加されました。第1層から進入できますが、敵の強さは3層相当の強さになっています。 また、進入にはフックショットが必要です。 以下は混沌世界 第一層で仲間になるキャラクター一覧。 混沌平原1:磯野さん(式神)、魔理沙(主人)、イカ坊主ちゃん(式神)魔理沙の家でパスワード入力でもらえます。 混沌平原2:ミスティア(式神) 地底:ヤマメ(式神) 竹林:妹紅(主人) 大蝦蟇の池:にとり(主人) 九天の滝:文(式神) 樹海:雛(式神) 魔界1:燐(式神) 魔界2:パチュリー(主人)、幽香(主人)、ルナサ(式神)、メルラン(式神) 魔界3:リリカ(式神) お燐と幽香は戦闘が入るので仲間にしたい場合はMPの残量に注意。 なお、1層だけで初期式神と合わせて15体以上にできるので、経験値を無駄にしないためにも積極的に埋めたいところ。 所々にフックショットを使う場所があるが、手に入るのは先の話なので今は無視して良い。 持っていれば、混沌平原2、3、九天の滝の奥地に進むことができ、新たな仲間を増やせる。 混沌平原2:サニーミルク(主人)、ルナチャイルド(式神)、スターサファイア(式神) 九天の滝:椛(式神) ※Wでは回復魔方陣の代わりに、狭間の境界という新マップへの入り口が配置された。 最初は結界に阻まれているが、さとりを仲間にした後に掲示板の依頼を調べることで入り口が解放される。 内部の敵は、第二層の塔攻略直後のレベルだとかなりの強敵が多いため、油断をすると一気に壊滅寸前まで持っていかれるので注意。 奥へ進むと魔法陣があり、それを踏むと、主人の式神コンバート化が解放される。 太陽の畑で「特製十六夜ブレンド8号」を取得していれば、紅魔館でレミリア(主人)を仲間にすることができる。 混沌魔城出現後に、混沌平原3の時計塔前から2MAP戻った「T字路のMAP」に右側から入ると 小傘(主人)とのイベント戦闘があり、勝利後仲間になる。 迷いの竹林:道なりに進むだけでは、無限ループに陥る。 正解ルートを霧が晴れている時だけ進むと抜けられる。 それ以外だと(霧が掛かっている・間違いルートに進む)進めないので注意。 正解ルートは入り口から下、下、左上の順。 分かれ道から実質2マップなので知っていればすぐ抜けられるだろう。 間違いのルートへ進むと入った方向と逆側に出ることも覚えておくとなお良い。 注意モンスター + ... メイド 混沌平原1~2に出現。 物理全般に耐性があり、ソニックブレードが中々強烈。 空が喰らうと強打で100以上で一撃死なんて事も。 3匹同時で出現する事もある。 魔法が有効で、特に闇属性が弱点。 ハンドレッドレッグ 地底や魔界に出現。 地属性全体攻撃の地震が60前後のダメージと非常に危険。 弱点(殴・水・地)を突いて素早く倒したい所。 鉱山の村 樹海、魔界3に出現。 見た目がシュールな反面、使う技がなかなか嫌らしい。 敵全体に自分と同じ防御力を与え、物理を半減するマイティ・シールドウォール。 大技を決めようとしたら、自ら囮にしてくるプロバケイション。 そして最後はサクリファイス・ボムで特攻する。 単体だとそれほど脅威ではないが、他の強敵と一緒に出てきたら厄介この上ない。 レッサーヴァンパイア 樹海、魔界3に出現。 HPが200以上もある上に吸血によるHP吸収(50~60)、 シャドウバーストなどの闇属性魔法、更にはコントロールマジックによる支配と芸達者。 しかも2回行動したり毎ターン再生(25)したり2匹同時出現とか… Lvが低い内に遭遇してしまえば確実に押し切られて全滅に追い込まれてしまうだろう。 剣の武器アビリティを上げ続けてデーモンペインを習得していれば、強打で大ダメージを与えられる。 手長足長 混沌平原3(フック必須)に出現。 HPは555と多い上に攻撃力が高い上、2回行動を行う。 特に無呼吸連打は即死級のダメージを食らうので、弱点の斬撃か地属性魔法で攻めよう。 たまにランドインパクトの範囲攻撃を行ってくることも。 魔理沙などのHPの低い魔法使いタイプには即死レベルのダメージ。 F.O.E攻略 + ... 九天の滝 Lv. 名前 HP 経験値 種族 神霊 再生 地相 11 無念怪火 275 76 精霊 - 12 火19 備考 神々の遺産(25%) STR VIT DEX AGI INT POT 18 18 23 35 42 13 攻撃 防御 魔攻 魔防 回避 抵抗 46 0 10 20 4 20 火 水 地 雷 光 闇 魔 斬 突 殴 ◎ 死 - - - - - ○ ○ ○ 大蝦蟇の池 Lv. 名前 HP 経験値 種族 神霊 再生 地相 12 ホムラカサゴット 330 88 爬虫類 - - - 備考 水の欠片(25%) STR VIT DEX AGI INT POT 20 26 18 31 20 1 攻撃 防御 魔攻 魔防 回避 抵抗 45 5 0 5 0 0 火 水 地 雷 光 闇 魔 斬 突 殴 - △ ○ - - - - - - - 地底 Lv. 名前 HP 経験値 種族 神霊 再生 地相 12 バサラトサーバント 440 94 付喪神 - - - 備考 つけもの石(25%) STR VIT DEX AGI INT POT 30 37 14 13 10 1 攻撃 防御 魔攻 魔防 回避 抵抗 57 40 0 5 0 30 火 水 地 雷 光 闇 魔 斬 突 殴 - - × ● ★ ★ - ○ ● - 魔界1 Lv. 名前 HP 経験値 種族 神霊 再生 地相 13 エリートマジシャン 400 115 魔法使い - - - 備考 魔源石(20%) STR VIT DEX AGI INT POT 9 26 23 40 56 1 攻撃 防御 魔攻 魔防 回避 抵抗 32 0 10 0 0 0 火 水 地 雷 光 闇 魔 斬 突 殴 - - - - - △ - - - - 迷いの竹林 Lv. 名前 HP 経験値 種族 神霊 再生 地相 13 リュカオン 480 130 超越 - 36 - 備考 素早い木材(20%) STR VIT DEX AGI INT POT 30 26 30 44 10 5 攻撃 防御 魔攻 魔防 回避 抵抗 62 5 0 5 5 20 火 水 地 雷 光 闇 魔 斬 突 殴 - - - △ - ○ - - △ - 魔界2 Lv. 名前 HP 経験値 種族 神霊 再生 地相 13 ワイト 606 145 不死 - - - 備考 鉄鉱石(25%) STR VIT DEX AGI INT POT 32 25 20 28 10 1 攻撃 防御 魔攻 魔防 回避 抵抗 55 0 0 0 0 0 火 水 地 雷 光 闇 魔 斬 突 殴 △ - - ○ × ● - - ○ - 混沌平原3 Lv. 名前 HP 経験値 種族 神霊 再生 地相 13 アコライト 555 160 魔法使い - - - 備考 古の祓物(20%) STR VIT DEX AGI INT POT 27 36 24 42 24 5 攻撃 防御 魔攻 魔防 回避 抵抗 40 5 10 5 0 20 火 水 地 雷 光 闇 魔 斬 突 殴 - - - - - △ - - - - 樹海 Lv. 名前 HP 経験値 種族 神霊 再生 地相 15 葛城 620 180 蟲 - - 地13 備考 天山のアミュレット(25%)壊れた財宝(50%) STR VIT DEX AGI INT POT 30 36 30 43 10 1 攻撃 防御 魔攻 魔防 回避 抵抗 55 10 0 5 0 0 火 水 地 雷 光 闇 魔 斬 突 殴 - △ △ - - - - ○ - △ 宝箱,スペルカード + ... 混沌平原1 火の欠片 ロングソード 神々の遺産 メイス 竹竿 鉄鉱石 スピアー メイジスタッフ スペル「マスタースパーク」(霧雨魔法店前マップ) 混沌平原2 雷の欠片 つけもの石 素早い木材 ラウンドシールド 神々の遺産 炎の指輪 魔源石 魔法使いのローブ 妖精の忘れ物 混沌平原3 マジックピアス 鎖帷子 座薬 マッスルベルト リネン・キュラッサ レシピ(素材セットA)[フックショット使用先] 序章stage1で取得出来なかった宝箱群[フックショット使用先] 大蝦蟇の池 剛力のネックレス 壊れた腕輪 鋼鉄 アルパインスターズ 妖精の忘れ物 氷の指輪 九天の滝 水の欠片 光の指輪(洞穴の中) 綺麗な鏡 魔源石(滝の裏) ブロンズビスチェ 神々の遺産 妖精の忘れ物 ウッドガーダー 地底 大地の指輪 竹竿 魔源石 壊れた腕輪 保護のアンクレット 地の欠片 地軸の杖 迷いの竹林 疾風のブーツ つけもの石 妖精の忘れ物 闇の欠片 バンブーガーダー 鋼鉄 ドラゴンランス 煉獄の杖 魔界1 素早い木材 鉄鉱石 壊れた腕輪 起動のゴーグル 雷雲の杖 雷の指輪 レシピ(大地の剣,アンヌヴィン,アクス・オブ・ライトニング,身かわしのローブ,三日月の盾) シャムシール 魔界2 神々の遺産 敬遠のマフラー 綺麗な鏡 ヒーターシールド 闇の指輪 雷の欠片 タバール (特典式神) ハードシェル キルテッドシルク レシピ(火の腕輪,氷の腕輪,大地の腕輪,雷の腕輪)[紅魔館] 魔の欠片 鋭敏のペンダント スペル「メガフレア」(魔界2-10) 魔界3 光の欠片 魔の指輪 地の欠片 古の祓物 結界のイヤリング 樹海 古の祓物 堅忍のロザリオ 水の欠片 火の欠片 裏地装甲 レシピ(CD-ROM,光の腕輪,闇の腕輪,魔の腕輪) 極寒の杖 エリアボス攻略 + ... 地底2(マップ中央付近) Lv. 名前 HP 経験値 種族 神霊 再生 地相 13 赤城大百足 1600 250 蟲 - - - 備考 STR VIT DEX AGI INT POT 30 40 25 17 10 1 攻撃 防御 魔攻 魔防 回避 抵抗 78 5 20 5 0 0 火 水 地 雷 光 闇 魔 斬 突 殴 - △ △ - - - - ○ - △ 精神集中から次ターンに全体攻撃の地震を使用。これを繰り返すので純粋に殴り合おうとすると回復が追いつかなくなる 弱点は沈黙の状態異常。こうなると精神集中が使えなくなり、地震も不発に終わるので積極的に狙っていこう またレッグスルー等のスタンも通りやすい。行動を妨害することの頼もしさと恐ろしさが分かることだろう 錬金属性武器の1つめはすべて弱点である。 九天の滝6 Lv. 名前 HP 経験値 種族 神霊 再生 地相 12 二荒大蛇 1500 200 爬虫類 - - - 備考 STR VIT DEX AGI INT POT 20 30 20 17 50 1 攻撃 防御 魔攻 魔防 回避 抵抗 48 5 0 5 0 0 火 水 地 雷 光 闇 魔 斬 突 殴 - △ ○ - - - - - - - 攻撃 力溜め、次ターンにベノンザッパー。これらをひたすら繰り返すだけ 縦一列に固まった陣形で挑んでしまうと全員がベノンザッパーの餌食になるのでそれだけは避けること 全て物理攻撃なので盲目にすることで無力化できるが、クリアランスで回復もしてくるので敵の行動はしっかり見ておこう 樹海3 Lv. 名前 HP 経験値 種族 神霊 再生 地相 16 アイアンビートル 1000 240 蟲 - - - 備考 物理反射 STR VIT DEX AGI INT POT 30 70 50 25 10 1 攻撃 防御 魔攻 魔防 回避 抵抗 58 50 0 0 0 0 火 水 地 雷 光 闇 魔 斬 突 殴 △ △ △ △ - - - ○ ○ ○ Lv. 名前 HP 経験値 種族 神霊 再生 地相 16 鏡の村 1000 240 付喪神 - - - 備考 魔法反射 STR VIT DEX AGI INT POT 20 40 50 20 20 30 攻撃 防御 魔攻 魔防 回避 抵抗 38 0 10 100 0 0 火 水 地 雷 光 闇 魔 斬 突 殴 - - - - ★ ★ - △ △ △ 範囲技や魔法で攻撃すると片方がそれを反射する。 アイアンビートルは単体魔法で、鏡の村は単体物理で攻撃すれば大丈夫 アイアンビートルの使うランスチャージは威力が高く、レベルや陣形によっては一気に壊滅することすらあり得るのでSTR低下を入れておきたい また鏡の村は威力こそ大したことはないがエナジーライオットを使ってくる。 魔属性のため魔法防御が高くないとダメージを抑える事は難しい 式神が揃いにくい時期でもあるので鏡の村を優先して叩くと良いだろう。 ボス攻略 + ... 魔界1 Lv. 名前 HP 経験値 種族 神霊 再生 地相 13 ヘンエンクン 1400 513 正体不明 - - 火15 備考 STR VIT DEX AGI INT POT 30 40 30 35 45 25 攻撃 防御 魔攻 魔防 回避 抵抗 65 20 5 10 0 30 火 水 地 雷 光 闇 魔 斬 突 殴 ★ △ - - △ ◎ - - - - 能力 属性 対象 備考 ファイヤーアロー 火 敵単体 ファイヤーストーム 火 敵全体 ヒートハンド 殴火 敵単体 フレイムストライク 殴火 敵貫通 クリムゾン・クリメイト 火 敵全体 見た目通り、火属性の魔法と打撃が主力。勿論のこと水属性に弱いのでアイスチルを主力に闘うとよい。 フレイムストライクは強力な貫通攻撃。よってフリーファイトがおすすめの陣形。単体攻撃も分散する。 光属性にも弱い。穣子は回復で忙しいだろうが、てゐがいればスターハンドを使えるようになっているとかなり楽。 火地相に傾いている状態で、かつHP50%以下になると1ターンおきにクリムゾン・クリメイトを使ってくる。 ダメージが大きい為、アイスチルを継続して使用して水地相に傾いた状態を維持し、使わせないまま倒したい。 魔界2(大階段) Lv. 名前 HP 経験値 種族 神霊 再生 地相 15 幽香 2200 885 妖怪 - - 地37 備考 STR VIT DEX AGI INT POT 35 60 35 20 45 30 攻撃 防御 魔攻 魔防 回避 抵抗 75 35 10 0 0 25 火 水 地 雷 光 闇 魔 斬 突 殴 - - ◎ △ - ○ - - ○ - 能力 属性 対象 備考 レッグスルー 突 敵単体 転倒付与 ポールスイング 突 敵一列 フラッシングピアス 突 敵単体 感電付与 ブランディッシュ 突 敵一列 アースジャベリン 地 敵単体 ポイズンハンド 突地 敵単体 毒付与 ソーンバインド - 敵一列 鈍化付与 香り - 敵全体 睡眠付与 弱肉強食の追い打ち - 敵単体 状態異常になっている敵に追撃 リーサルポイズン 地 敵単体 キャニオンクラップ 地 敵全体 力溜め - 自分 花符「幻想郷の開花」 突 敵全体 力溜め後全体攻撃 連続で2回行動し、地属性の攻撃を多用してくる。 序盤はそれ程脅威になる攻撃はしてこないが、HPが減るにつれて、徐々に強い攻撃を使ってくるようになる。 香り→弱肉強食の追い打ちのコンボはHPが減っている状態で食らうと危険。 リーサルポイズンも高威力なのでそれ以上のHPは保持しておきたい。 また、沈黙が有効。器用さの高いキャラにミュートを使わせれば、地属性の魔法を封印できる。 香りで眠らせてくるため、リリカのファツィオーリ冥奏で抵抗を上げておくこと。 力溜めした次のターンは花符「幻想郷の開花」を使い、一気になぎ倒される危険がある。 事前に沈黙状態にしておくことで力溜めが不発になり、結果的にスペカ技も封じることができる。 弱点は雷属性。INTを上昇させてのプラズマホールで叩こう。雷雲の杖を装備して物理チェイスを加えるとなお良い。 一輪が居るならサンダーハンドも有効だが、物理防御が高いため、先に雛を仲間にしてアシッドストームをかけよう。 列攻撃が多いので3列陣形を採用したい。先に樹海で裏地装甲を入手しておくと、突属性を防げるためかなり楽になる。 魔界3(時計塔前) Lv. 名前 HP 経験値 種族 神霊 再生 地相 17 アンスイテイ 2500 738 正体不明 - - 水30 備考 STR VIT DEX AGI INT POT 40 50 20 55 50 50 攻撃 防御 魔攻 魔防 回避 抵抗 70 25 0 10 0 35 火 水 地 雷 光 闇 魔 斬 突 殴 △ ★ - - △ ◎ - - - - 能力 属性 対象 備考 五月雨攻撃 剣 敵範囲 コールドハンド 剣+水 敵単体 凍結付与 アイスチル 水 敵単体 冷気 水 敵全体 水ランド上昇時 アシッドストーム 水 縦一列 物理防御低下付与 フラッシュ - 敵全体 盲目付与 回復の水 水 味方単体 HP回復 ワールヘル 水 敵全体 スタン付与 フリーズインパクト 剣+水 敵単体 水ランド上昇時・凍結付与 水属性の魔法と、手にした氷の双剣での斬撃が得意。 火属性と光属性が弱点だが、魔法防御が高く、物理主体で攻めた方が良い。 ただし、フラッシュを使うので、アタッカーは暗闇の間はルナサ等で強化補助に努め、治療を待とう。 水ランドが強くなっていくと、自動回復を得たり、冷気やフリーズインパクトが解禁されていき、 なにより危険なワールヘルを使う頻度が上がる。この攻撃は低威力だが、全員をスタンさせつつ水ランドを活性化する。 連発されるとすぐにあたり一面水浸しになり、まさに沼に引きずり込まれる如く全滅の一途を辿る事になる。 ダメージが通りにくいが、ランド調整のためにもファイヤーアローは絶やさないこと。 なお霊夢が主人公であれば、小町のカウンタマジックで抵抗を上昇させてスタンをある程度防ぐことが可能。 混沌平原3 Lv. 名前 HP 経験値 種族 神霊 再生 地相 24 小傘 1000 2 付喪神 - - - 備考 STR VIT DEX AGI INT POT 48 48 48 53 48 96 攻撃 防御 魔攻 魔防 回避 抵抗 100 0 0 0 0 40 火 水 地 雷 光 闇 魔 斬 突 殴 - - - - △ - - - - - 混沌魔城出現後、時計塔近くのT字路を右に行くとボスポータルになっているので再度入るとボス戦。 通常攻撃しかしてこない。 攻撃力も防御力も低く、ボス曲が流れるのがおこがましい位の弱さ。そして経験値2。 付喪神なのに弱点は光属性。ドSな人でもない限り、そんな準備はいらないだろうが。 ちなみに即死も入る模様。 ………なんと、ハリセンボン耐性あり。BOSSとしての面目躍如か? →stage3 混沌世界 第二層 魔界1 →stage5 終末の時計塔 第壱の塔 コメント 魔界1-4だけなぜか聖のフィールドスキルが効果ない。ほかにもありそうでちょっと怖い -- 名無しさん (2017-07-01 19 21 33) 幽香が力ためした後に全体攻撃を打ってきました -- 名無しさん (2017-07-01 23 22 27) 技名は花符「幻想郷の開花」です 全体に耐性なしで100台のダメージを受けました -- 名無しさん (2017-07-01 23 26 02) しかも連発してきました 2回目の後に精神集中しましたがまた同じ技でした -- 名無しさん (2017-07-01 23 27 37) 主人公は白連です -- 名無しさん (2017-07-01 23 28 18) 混沌魔城どころか時計塔にすら辿り着いてないのに小傘が出てきたんだが、条件変わったのかバグなのかどっちなんだろうか? ちな紫編 -- 名無しさん (2017-07-02 12 32 37) ↑聖編では確認できない。(Ver1.0.1) -- 名無しさん (2017-07-02 16 42 46) 幽香は沈黙入れても特に物理主体に切り替えたりはしないと思う -- 名無しさん (2017-07-03 22 42 33) 宴の時の仕様だな。やっぱり敵の行動アルゴリズムも結構切り替わってそうだな -- 名無しさん (2017-07-04 08 47 55) ここにパスワードは載せないでください。パスワードは公式ブログに掲載されていますので書かないように!! -- 編集者 (2017-07-06 11 51 36) 追加された幽香の全体技はミュートで沈黙にすれば使ってこなかった -- 名無しさん (2017-07-25 19 43 03) 混沌平原2-1のフックショットポイントに触れたらエラー 半歩状態だったのかな、と慎重にやり直してもエラー うちだけ?ダウンロードし直した方が良いかな? -- 名無しさん (2017-08-03 13 51 16) 魔界2-10 スペルメガフレアあったぞ -- 名無しさん (2018-05-10 18 56 04) イカ坊主ちゃんのパスワードはどこで手に入りますか? -- 名無しさん (2018-07-15 20 56 48) 紅魔館4ってどこだ。宝情報はあれど3までしか見当たらん -- 名無しさん (2018-09-07 17 21 55) FOEモンスターのアコライト、図鑑では出現地域は混沌平原3ですが、魔界3(九天の滝入口側)に出てきました -- 名無しさん (2018-11-06 11 36 06) 幽香のスペカ技に関する記述がPC版のままだったので修正しました。 -- 名無しさん (2019-02-15 15 20 08) 九天の滝 フックショットで早苗、幽々子のスペカが手に入る -- 名無しさん (2021-04-20 16 22 51) ↑ルート書いてもらわないと困る。主人公によって配置されているスペカが違うから -- 名無しさん (2021-05-16 09 39 18) レベル上げってどうすればいいのかな?このゲーム経験値が低い気がする -- 名無しさん (2022-03-28 22 30 30) 経験値にレベル差補正かかるから適正レベル以上には中々ならない。全編通して工夫が必要で道中全滅の危険がある。一応ゆっくり系はレベル差補正かからないから無理矢理上げることは出来る。 -- 名無しさん (2022-03-31 11 03 12) 妹紅がいないのだがなんでだ? -- 名無しさん (2023-01-18 05 50 07) ↑すでに主人に妹紅が居る場合(初期でいることがあるので)は竹林に妹紅はいません -- 名無しさん (2023-01-19 20 42 29) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/maroku/pages/308.html
式神FAQ FAQとFAQ(EX)から式神関連の情報を抜き出して補足を加えた物。 もっと詳細な情報を知りたい方はFAQやFAQ(EX)、式神の各ページを調べてください。 Q.フックショットは何処にあるの? Q.フックショットLは何処にあるの? +... A.フックショットは第二層の魔界1から入った無縁塚を左側に行ったところです。 対応場所は混沌平原2、九天の滝、混沌平原3、冥界。 フックショットLは混沌の魔城中層の終わりの方。攻略的に、取ってもそのまま先に進むことを推奨します。 対応場所は天界、無名の丘、魔法の森。 Q.モンスターを式神にするにはどうするの? Q.さとりを仲間にするにはどうするの? +... A.モンスターを式神にするにはさとりが加入している必要があります。 加入さえしていればさとりを装備していなくても構いません。 さとりは終末の時計塔をどれか一つクリアすることで加入します。 ただし、第一層の第壱の塔のボスが一番強く、逆に第二層の第弐の塔のボスが一番弱いです。 Q.式神の仲間にしやすさと、ランクについて聞きたい +... A.仲間にし易さのランク 確率 難易度 Z: 100%(1/1) ☆ S: 50%(1/2) ☆☆ A: 25%(1/4) ☆☆☆ B:12.5%(1/8) ☆☆☆☆ C:6.25%(1/16) ☆☆☆☆☆ D:1.56%(1/64) ☆☆☆☆☆☆ E:0.39%(1/256) ☆☆☆☆☆☆☆ F: 0.1%(1/1000) ☆☆☆☆☆☆☆(光る) 難易度は同じ敵を15匹以上倒すor式神にすることで図鑑に掲載されます。 なお、ゆっくり系のランクであるEは1/256となっていますが、256回以内に仲間になる確率は約63%。 はぐれのFは1/1000ですが、1000回以内に仲間になる確率も約63%。 根気よく戦っていきましょう。 Q.耐性について教えて +... 通常時を―とした時 ☆ 25% ◎ 50% ○ 75% ― 100% △ 150% × 200% の倍率がかかったダメージを食らうことになります。 耐性変動は大雑把に ☆+×=◎ ◎+×=― ◎+△=○ ○+△=― ○+×=△ になります。 それ以外の計算式では変動することが無い(例えば○+◎=◎、△+△=△)ので、式神や装備品の組み合わせでうまく弱点を消しましょう。 Q.式神の注意点はある? +... 式神を装備する事のデメリットはある? どの式神でもデメリットはまず無いので、とりあえず主人5人×3の式神枠を埋めるのが基本です。 式神を装備する上で注意することは? 装備する上で注目すべき点はスキル、パッシブ、ステータスの3つ。 スキルは式神が所持している各種技で、レベルが上がることで5個までスキルを覚えます。 (Lv70が最大の無印では4個までしか覚えない式神もいます) パッシブは各属性の消費MPが減るものや、攻撃力が上がったりするものなど様々な種類があります。 各属性や状態異常に対する耐性もパッシブに含まれます。 レベルが上がることで新しいパッシブが増えたり、既存のパッシブがより上位のパッシブに変化することもあります。 ステータスはその式神が保有しているステータスで、装備するとそのまま主人にステータスが加算されます。 序盤はあまり気になりませんが、後半になってレベルが上がってくると式神のステータスにも差が生まれてきます。 例えばスキルとパッシブは役に立たないがステータスが高いから装備する。 あるいは敵の即死が嫌なのでパッシブで即死耐性持ちの式神をつける。 このような乱暴な装備の仕方で大丈夫。 Q.東方式神とモンスター式神はどちらが強いの? +... A.東方式神は固有スキルが強力な式神が多く、モンスター式神はステータスと汎用スキルに優れている式神が多いです。 全体的に雑魚戦ではモンスター式神、ボス戦では東方式神を使い分けると良いでしょう。 EXラスダンの式神は非常に強力ですので、EXクリア後には主力として扱えます。 Q.無印でお勧めの式神は? +... 火力要員 火焔猫燐→火範囲の死灰複燃が強い。火属性の消費軽減を自前で持っているのも高ポイント。 レティ→とりあえず水属性の範囲攻撃。 黒谷ヤマメ→土属性攻撃。全体麻痺が強く、土属性の消費軽減と遅延減の両方を早い段階で覚える。 村紗水蜜→ファイナルアンカーのダメージはチート。ラスボスでも使っていける。 メディスン→毒が強い。ボスにも毒が効く事が多いので、ガジングガーデンでごりごり削れる。 ペリ→チェイスゲー。無印では無双できるが祭になって弱体化されたので注意。 状態異常要員 ルーミア→なめ回すと属性攻撃に弱くなる。手強いボスにも目に見えてダメージが増える。 リグル→雑魚戦でバタフライストームが使える。 鍵山雛→ボスのステータスを下げまくればタコ殴り。 回復要員 秋穣子→回復の水と大地の恵みで粘れ! オータムスカイは忘れろ。 水橋パルスィ→回復の水とデスです。パッシブも回復の消費軽減に加え、状態異常耐性と自動治療のおかげで回復不能の状況を防ぎやすい。 洩矢諏訪子→遅延0で全回復のリフレッシュが優秀。 ユニコーン→EXまで使っていける優秀な回復役。切り札のエリクサー。さようなら穣子さん。こんにちはユニコーン。 リリーホワイト→入るのは終盤だがEXまで使っていける。リフレッシュとリザレクションのセットは心強い。エリクサーとの使い分けに注意。 稗田阿求→リリーと同じで入るのは終盤、でもEXの為に育成しておいて損はない。 ガルバンゴル→奥の手エネルギー。式神にするのは結構大変。 能力強化要員 リリカ→シンプルな範囲強化。 ナズーリン→リリカが全体なら、こちらは単体。アイテムドロップ率が上がるおまけ付き。 補助要員 小悪魔→全体に一度だけ物理攻撃を防げる障壁を張る。EXでは必須。育てておいて損はない。 秋静葉→小悪魔が物理なら、こちらが全体に魔法を一度防げる障壁を張る。EXで必須。 ユニコーン→全体に能力変化や瞬間効果を無効にする障壁を張る。瞬間効果とは即死やスタンのこと。状態異常の麻痺や石化は防げないので注意。 ひまわり妖精→全体に状態異常を無効にする障壁を張る。ユニコーンと対。麻痺や毒は防げるが即死は防げない。 ウンディーネ→回復の水に加えて、固有技のアクエリアスエイジが超強力なスキル。EXクリア後まで活躍する。 射命丸文→ファストストライクは味方一人を1ターンだけ最速で行動させるスキル。障壁や回復と上手くコンボにすると強い。 ガルバンゴル→射命丸文と同じくファストストライク要員。 フィールドorランド要員 オシラサマ→ジャマーとオセンダクで優位に立てる。EXでも使っていける。 メイド妖精→コントロールランドでランド調整。つおい。 上白沢慧音→~の効果が少なくなるフィールドとリジェネ、三種の神器。 Q.EXではどの式神を育てておくべき? +... 火力要員 朱麗&クロエ&音羽 三魔柱は3人ともステータスが高めでスキルも優秀と非常に使いやすい。 クロエとジュリは雑魚戦で範囲即死攻撃、音羽は全体攻撃に加えてファストストライクが使用可能で素早さも高い。 特に終盤まではジュリとクロエの範囲即死が雑魚戦で非常に頼りになるのでおすすめ。 補助要員 小悪魔&秋静葉&ウンディーネ ダークイリュージョンorフォーリンブラストでそれぞれ物理、魔法を1回だけ防げる全体バリアを張れる。 中盤以降これがないときついボスが多いので、ファストストライク役と合わせてうまく使っていこう。 ウンディーネは全体版スペルシール効果のアクエリアスエイジが使用出来る。 魔法をほぼ無効化できてしまう強力なスキル。 盾orかばう要員 犬走椛&アリス 勇儀&鉱山の村&ゼラチナスマター 味方を庇うベネブランスウォール+フィジカルorマジカルディフェンスは蒼神縁起のアリスを髣髴させる強力な連携。 これに合わせて上記の小悪魔や静葉を使えばやられることは極端に少なくなる。 先制行動要員 文&ガルバンゴル&音羽 リコッテ&ガルーダ シルフ ファストストライクからの安全な補助や回復を心がけよう。ボスの大技発動前に防御スキルを使うと効果的。 リコッテとガルーダは全体ファスト効果のラピッドストリームを習得可能で、主に雑魚戦で非常に役に立つ。 行動順は固定で、後列から前列へ、一列に複数人いる場合は下から上へ。 シルフは常に先制を取れるフィールドを張る電光石火が非常に強力。 順番固定でないラピッド効果が毎ターンかかると思えばいい。 状態異常要員 G-3&こいし&華扇&錦小瑠璃&ルーミア等 特に属性弱化攻撃が優秀で、与えるダメージが大幅に上がるのでうまく使いたい。 ただしヴォーテックスを多用するボスが多いため、属性弱化が通用しないボスにはこいしや華扇などを使おう。 華扇はパッシブでデバフの威力が上がり、ソーンバインドも扱いやすい。 全体的にデバフそのものが弱くなったので優先度は落ちた。バフを重視しよう。 回復要員 アンシリーコート&稗田阿求&リリー&華扇&ガルバンゴル等 リフレッシュ、エリクサー、リザレクションの使い分けは重要。 全体回復はガルバンゴルのエネルギーが高性能。 華扇はリレイズ効果を与えるフェニックスという技を習得出来る。 やられてから蘇生するよりも効率がいいが、遅延があるのでメインアタッカーや回復・蘇生役に優先してかけよう。 フィールドorランド要員 寅丸星&メイド妖精&村紗水蜜&慧音&リリー&デカラビア等 ランドは本編に引き続き重要。 デュランダールを生かすために寅丸のアブソリュートジャスティスなどが効果的。 地層回復式神や装備品も増えてくるので意識して使うと良い。 フィールドは上書きしてくる敵が増えたが使いどころを間違えなければ依然として有効。 逆に敵のフィールドを消すのにも使える。 Q.宴で特典式神は何処で入手できるの? +... A.ゲームを進めていけば入手できます。無印、祭のように特典コードの入力は必要ありません。 それに伴い混沌世界 第一層 魔界2の特典式神が入っていた宝箱は消失しました。 コメント 暫定で制作 修正や加筆点が有ったらコメントにお願いします -- 名無しさん (2012-06-03 16 05 20) 乙。「このような乱暴な装備の~」のくだりが凄くいいな。耐性パズルとかは慣れてきてからでいいんだぜ -- 名無しさん (2012-06-07 00 18 20) ザラチナスマター・・・ -- 名無しさん (2012-06-20 22 28 09) ゼラチナに修正しておいた -- 名無しさん (2012-06-20 23 07 43) FAQ(EX)の方もザラチナになっているな -- 名無しさん (2012-06-20 23 14 31) ゆっくりキングもマッスルベルトつければ強い! -- 神 (2012-08-08 10 03 06) 魔法の森の奥が行けませんどうやったら行けますか? -- プリズムリバー (2012-10-31 11 19 24) 凄くどうでもいいとこなんだがどうやって仲間に~のとこ、一番弱いのが3塔になってるな -- 実際は2塔 (2013-01-12 17 13 34) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/83452/pages/16141.html
また少しだけ二人で黙る。 それは多分、これから向き合わなきゃいけない事があるって、お互いに知ってるからだ。 しばらく経って、後ろの澪がほんの少し震え始めて、でも、強い言葉で澪が言った。 「私は律に傍にいてほしいんだ」 「……傍にいるよ」 「うん……。それは嬉しいけど、そうじゃないんだよ。 私……、私はもっと違った形で律と一緒にいたい。 私は……、律の事が好きだから」 「……私だって好きだよ」 「それは友達として……だよね? 私は、そう……、上手く言えないけど……、そうじゃなくて……。 そう……だな……。えっと……。 例に出すのは変だと思うけど……、 私は律と……、今日見たオカルト研の中の二人みたいになりたいんだ」 オカルト研の中の二人……。 その澪の言葉で最初に思い浮かんだのは、裸で絡み合う二人の姿だった。 いや、それは勿論、単なる分かりやすい例えで、 澪が言いたいのはそういう意味じゃないのは分かってるんだけど、 どうしてもあの裸の二人を思い出してしまう。 仕方ないじゃないか。 忘れるにはまだ時間が全然経ってないし、それくらい衝撃的な光景だったし。 何も言わない私の姿を見て、澪も自分が何を言ったのか気付いたんだろう。 顔が見えないから分からないけど、多分顔を真っ赤にしながら焦って訂正した。 「いや、オカルト研の中の二人っていうのは、違くて……。 そういう意味じゃなくて……。 あ、でも……、そういう意味に、なっちゃう……のかな……。 私は律が好きで……、 友達よりも……、親友よりも深い関係になりたくて……。 つまり……ね? それは……、恋人……って事に……なる……のかな。 恋人……って事はやっぱりあのオカルト研の中の二人みたいに……。 いや、でもでも……」 私の後ろで澪はまた自分の発言の恥ずかしさに悶え始める。 私も何だか顔中が熱くなるのを感じながら、 澪の言った事を頭の中で何度も噛み締めていた。 律と恋人になりたい。 はっきりと言ったわけじゃないけど、澪はそういう意味の事を言った。 多分、私はその澪の言葉が嬉しかったと思う。 赤くなってるんだろう自分の顔を隠したくなるくらい、 澪に悟られないように自分の震えを止めるのが大変なくらいに、 多分、私は嬉しかった。 でも。 恋人というのがどんな物なのか、私は知らない。 恋愛漫画を読んだ事はあるし、 普通の女子高生より遥かに少ないだろうけど、恋愛モノのドラマも何本か観た事はある。 ただ、大抵の恋愛モノは主人公と相手役の恋模様や修羅場はよく見られるけど、 主人公が相手役を好きになった理由を深く表現した作品は少なかった気がする。 相手役が好みだったからとか、少し優しくしてもらえたからとか、 そんな理由で恋に落ちるもんなのか? って、私は何度も思ったもんだ。 格好いいな、と思う男子も何人かいた事はあるけど、 それだけで恋に落ちた事もないし、男子を恋愛的な意味で好きになった事もなかった。 恋を知らない女……なんて、まるで安い恋愛モノのキャッチフレーズみたいだけど、 そういう意味で私は確かに恋を知らない女なんだよな。 澪の事は好きだ。 幼馴染みで親友だし、澪とはもっと仲良くなりたいっていつも思ってる。 その先に澪との恋愛関係を期待してたのかどうかは分からないけど、 少なくともこれまでも、これからも私の人生から澪を外して考えるのは無理だった。 私の心のずっと深い所に澪がいるし、多分澪の深い所にも私がいる。 もう今生の別れになるような話は二度と切り出したくないし、 澪とはもう離れたくないよ……。 だから、私は澪に言ったんだ。できる限り私の想いが届くように。 「なあ、澪。 手を放してくれないか?」 「えっ……。 ご……ごめんなさい、私……。 律の気持ちも考えずに……、律の迷惑も考えずにこんな……、 ごめ……ん……」 澪が消え入りそうな声で呟いて、私を抱き締めていた手から力を緩める。 今にも泣き出してしまいそうな小さくて震える声。 きっとすごく悲しい顔をしてるんだろう。 でも、私は澪から身体を離して、向き合ってかなり久し振りに澪と顔を合わせて。 行き場を無くした澪の手を取って、できるだけ優しく包み込んで。 伝えられるように。 そうじゃないんだと。 「違うって、澪。 ほら、おまえだけ後ろで私の様子を見られるなんて、ずるいじゃん。 私にも澪の顔を見せてくれよ」 「えっ……」 やっぱりすごく悲しそうな顔をしてた澪が戸惑った表情に変わる。 こんな時に私と顔を合わせるなんて、恥ずかしがり屋の澪には難しい事だろう。 だけど、私は澪と顔を向け合いたかった。 私だって顔が赤い自分を見られる恥ずかしさに耐えてるんだ。 澪にだってその恥ずかしさには耐えてほしい。 まだ何が起こってるのか分からないといった感じで澪が呟く。 「り……つ……? えっと……、私は……ごめん、その……」 「私はさ、澪の事が好きだよ」 「えっ……」 澪が驚いた表情に変わる。 まさかそんな事を言われるなんて思ってなかったんだろうか。 確かに私も自分の口からそんな言葉が出るなんて思ってなかった。 でも、その私の言葉に嘘はなかった。 私は澪が好きだ。大好きだ。 それが恋愛感情なのかどうかは分からないけど、 私と恋愛関係になりたいと、あの恥ずかしがり屋の澪が言ってくれた。 だから、私は澪の気持ちに応えていいんだと思った。 「澪は私の恋人になってくれるんだろ?」 「……いいの?」 「いいよ。 ……澪こそいいのかよ、私なんかで。 もっと素敵な誰かは他にたくさんいるだろ……?」 そうだ。 澪には私なんかより他に相応しい相手がいるはずだ。 ずっとそう思ってた。 だから、こんな世界の終わりを間近にして、 私なんかが澪の傍にいていいのかって思えてしまって辛かった。 でも、澪は言ってくれた。 私の両手を握り返して、伝えてくれた。 「ううん……、そんな人なんていないし、 例えどんなに素敵な人がたくさんいたとしても、 私は……、その誰よりも律がいい。律の傍がいい。 律が一番いい」 「そっか……。 ありがとう……」 ずっと近くにいた私と澪。 女同士ではあるけれど、この気持ちに嘘はないはずだ。 私達の結末は恋人同士という関係でいいはずなんだ。 二人とも分かってる。 もう私達には時間が無い。解決してくれる猶予もない。 はっきりとさせないまま世界が終わるって結末に至っていいはずがない。 本当の事を言うと、私は澪の事を恋愛対象として好きなのかまだ分からない。 でも、それでいいんだ。 恋愛モノの作品で、恋に落ちるきっかけが腑に落ちないのも、そういう事のはずなんだ。 恋に落ちるきっかけなんてなくて、愛に理由なんてなくて、 恋人として付き合っていくうちに、本当の恋愛感情を抱くようになるはずなんだ。 もうすぐ世界が終わる。 それまで自分を好きでいてくれる人の気持ちに応え続けるのが、一番いい選択肢だと思ったから。 私は、澪の、恋人になろうと思う。 澪と無言で見つめ合う。 かなり色の濃くなった夕焼けに二人で照らされる。 二人の顔が赤いのは、その夕焼けのせいだけじゃない。 お互いに恋人になれた気恥ずかしさと緊張に頬を赤く染めながら、 すごく自然に……、誰かに操られるみたいに唇を近付けて……。 ………。 瞬間。 何故だか目の前がぼやけた。 水の中にいるみたいに、焦点がはっきりしない。 何が起こったんだ……? 澪の手を握っていた右手を放して、私は自分の目尻を擦ってみる。 それで私はやっと気付いた。 自分が涙を流してる事に。 あれ……? 何でだ……? どうして私は涙を流してるんだ……? 澪と恋人になれた嬉し涙なのか……? いや……、違う……? 哀しく……て……? いいや、駄目だ、泣くな、私! こんな時に泣いてどうするんだ。 私は澪と恋人になるって決めたんだ。 こんな涙なんて澪に見せられないんだ! 私は急いで何で流れるのか分からない自分の涙を拭って、 もう一度澪と視線を合わせようと瞳を動かして……、 そこでまた気付いた。 澪も涙を流していた。 嬉し涙なんかじゃなく、澪が悲しい時に何度か見せたのと同じ顔で涙を流していた。 二人で、 顔を合わせて、 泣いていた。 どうして泣く? 何で泣いちゃってるんだよ、私達は……! もう時間が無い私達を、どうして涙なんかが邪魔するんだよ……! 世界が終わるって聞いた時も、 今日の朝に死を実感した時にも流れなかったくせに、どうして……! どうして、こんな今更……! 「違……っ。 こんな……泣いてなんか……」 止まらない涙を拭いながら、私はどうにか言い繕おうとする。 涙を流しながら説得力はないけれど、これを涙だと澪に思わせたくなかった。 これは汗なんだ。 単に澪と唇が近付いたから緊張して流れただけの汗なんだ。 どんなに無理があっても、そうでなくちゃいけないんだ。 だけど、やっぱり私のその言葉には無理があった。 澪も自分の涙を拭いながら私から手を放すと、 急いで自分の鞄を担いで私の部屋の扉を開けた。 「律、ごめん……」 「澪……、これは違くて……、その……」 「ごめん、今は……、帰らせて……。 本当に……ごめん……」 澪がそう言う以上、私には何もできなかった。 何かをしようにも、私の邪魔をする涙は次から次へと溢れ出て来てしまって、何もできなくなる。 涙の海に溺れて、動き出せなくなる。 部屋から出て行く時、澪は最後に一つだけ言った。 「明日、学校には行けない……。 ごめん……。律を嫌いになったわけじゃ……ない。 でも……、無理……。無理なの……。 こんな時に……、本当にごめんなさい……」 私の部屋の扉が閉まり、私は一人部屋の中に取り残される。 結局、最後まで、意味の分からない二人の涙は止まらなかった。 もうほとんど残されていない私達の時間が、どんどん削ぎ取られていく。 「何だよ……。 何だってんだよ……」 夕焼けが落ちても、 部屋を月明かりが照らすようになっても、 私はベッドに顔を埋めてわけの分からない涙を流し続けた。 何度も、ベッドに拳を叩き付けながら。 13